狂い人の世界 ~少年A~

としひろ

第1話 天界

 ここは、とある特別養護老人ホーム。ここが実は、天界だと言う噂を聞きつけました。しかも驚いたことに、神様と閻魔大王がお見えになるとか。で、お話を伺うべく、来てみたのですが…。玄関から入りまして奥の方にありますのが、60平方いえ80平方はあるでしょうか、大きなそして小ぎれいな部屋ですよ。娯楽室といったところでしょうか。大きな窓があり、中庭に面しているようです。

 庭の中央には大きな木がそびえ立っておりますが、あれはあすなろでしょうか。高いですねえ、見上げていると首が痛くなりそうです。ですが、木陰のベンチが夏には素敵な休憩場所になりそうです。あ、花壇もあるようです。四季とりどりのお花を植えられるのでしょう、黄色の花を咲かせているフリージアに、紅色が映えているゼラニウムもあります。ああヒトデのように花が別れているのはヒヤシンスですね。淡いピンク色から赤色や紫も咲き誇っています。色々の花で散歩道が作られています。まさに、天国だという形容も納得できます。

 部屋の中央には四人掛けの長方形のテーブルが、ひいふうみい、ああ三卓ありますね。ちょっとしたカウンターがあり、そこで飲み物などを提供されているようです。壁にはタペストリーですね、飾られています。ひな祭りやら鯉のぼりの柄とは、珍しいです。でも、お孫さんたちが遊びに来るのでしょうね、喜ぶ顔が目に浮かびます。

 60インチの大画面テレビの前には布張りのソファがあり、そこにお二人の方がお座りになられています。あのお二人がそうでしょうか? あのお痩せになってらっしゃるお方が神様で、小太りのお方が閻魔様でしょうか。ちょい見した限りなのですが、小太りのお方は常に頭をお下げになってらっしゃるようなのです。ちょっと、盗み聞きしてみましょう。

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