第81話:巨大スケルトン
「な、何あれ!? 今までで一番大きいわ!」
姿を現したスケルトンは今までと比べてかなり大きい。人型ではあるが、3~4メートルくらいの高さをした巨大なスケルトンだ。手元に持っている武器も大きな棍棒だった。
人骨としてありえないぐらい巨大であり、明らかに元は人ではないと思わせるほどだ。
違いは大きさだけではない。
「何か背中についてない?」
「本当ね……何かしらあれ? バッテン?」
巨大スケルトンの背中には十字架が付いていた。十字架を背負ったまま出現してきたのだ。
物を背負ったまま現れるという珍しいタイプのモンスターだ。
「どんな相手でもぶっ飛ばしてやる! アタシが相手だ!」
リリィはそんな巨大スケルトン相手にも怯まずに立ち向かっていく。
「やぁぁぁ!」
突撃した勢いのまま、大剣で相手を斬りつけた。
だがそれでも巨大スケルトンはまだ倒れなかった。
「さすがに一撃では倒れないみたいね。それだけタフってことかしら」
「あんなに大きいもんね。もしかしたらこの辺りの主かも?」
今までのスケルトンはリリィの一撃で葬ってきたが、巨大スケルトン相手だとそれだけでは足りない。
他のとは違って体力も多く設定されているからな。
「だったら何度でも切ってやる!」
巨大スケルトンはリリィに狙いを定めて攻撃する。だがリリィは上手く避けて懐に入った。
「これでどうだ!」
リリィの攻撃でよろける巨大スケルトン。その隙を逃がさず追撃が入る。
そのまま数回切りつけた後、ついに巨体が崩れて倒れた。
「おお! さすがリリィだわ! あんな大きい相手でもアッサリ勝てちゃうなんて!」
「私も加勢しようと思ったんですけど要らなかったですね。頼りになります!」
「これくらいならアタシ1人でも十分さ!」
竜人族のパワーならあの程度を難なく倒してしまうのか。確かにこれならリリィ1人でも問題無いだろう。
「これで終わりかしら?」
「他に居ないみたいだね」
周囲を見渡しても襲ってくるようなモンスターの姿は見えない。
恐らくこれで全部倒し終えたんだろう。
だが安心するのはまだ早い。
「うーん……やっぱりこれで全部かもね。他の場所に行ってみる?」
「一度ゼストさんに相談してみて……あっ!!」
「ど、どうしたの?」
「あれ見て! 地面の上で何か動いてる!!」
「どこ!?」
「リリィさんの周辺!」
リリィが立っている場所で破片が動くものを見たようだ。それらはピクッっと震えた後に、宙に浮かんで一カ所に集まるように動き出した。
「な、なんだ!? どうなってるんだ!?」
いきなりの現象にリリィは驚きながらその光景を眺めていた。
その間にもみるみる内に纏まっていく。まるで逆再生を見ているかのように徐々に元の形へと戻っていった。
それらはパズルを組み立てるようにくっ付いていき……完全に元通りになった巨大スケルトンが完成した。
「う、嘘……元に戻ったの……?」
巨大スケルトンはゆっくりと立ち上がった後、リリィがいる方向に向きを変えて動き出した。
そして攻撃しようと棍棒を振り上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます