第九話 過ち

ボーッ

電車が汽笛を鳴らしてホームへと向かってくる。俺は死にたくなかった。生きるためには今、ここで圭太を殺さなきゃならない。

「行け、俺。」

そう自分を鼓舞して、俺はホームを縦に全力疾走した。


その後は覚えていない。気がついたら圭太は原型がわからないまでになっていた。

「俺、やばいことしたんだ…」

普通ならやる前に気づくはずなのに、生への意欲で、自分がやっていることがどんだけいけないことか分からなくなっていた。俺は約束通り逮捕されることはなかった。警察が来たが、何故か

「お前は違うな、まだ子供だし」

と言って帰っていった。


俺は罪悪感でいっぱいだった。取り返しの付かないことをしてしまった。呪いは解けているはずなのに、心の底に常に闇がある。それから俺はおかしくなった。親戚にものを投げつけ、包丁を振りかざした。そしてあるとき俺は


『ホームで自殺した。』

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