第九話 過ち
ボーッ
電車が汽笛を鳴らしてホームへと向かってくる。俺は死にたくなかった。生きるためには今、ここで圭太を殺さなきゃならない。
「行け、俺。」
そう自分を鼓舞して、俺はホームを縦に全力疾走した。
その後は覚えていない。気がついたら圭太は原型がわからないまでになっていた。
「俺、やばいことしたんだ…」
普通ならやる前に気づくはずなのに、生への意欲で、自分がやっていることがどんだけいけないことか分からなくなっていた。俺は約束通り逮捕されることはなかった。警察が来たが、何故か
「お前は違うな、まだ子供だし」
と言って帰っていった。
俺は罪悪感でいっぱいだった。取り返しの付かないことをしてしまった。呪いは解けているはずなのに、心の底に常に闇がある。それから俺はおかしくなった。親戚にものを投げつけ、包丁を振りかざした。そしてあるとき俺は
『ホームで自殺した。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます