16
「悪いが途中から聞かせてもらった。脳内に居る彼女とやらの話し合いは終わったと思っていいのか?」
「あ、はい。たぶん納得はしてくれてないと思いますけど…いちおう、これからもよろしくってことになりました」
「そうか、まぁ。なんだ。昨日はすまなかったな。おかげで助かった。礼を言わせてくれ」
あれ? 目つきは鋭いままだけど雰囲気が全然違う。
なんというか、威圧感みたいなものが綺麗さっぱり消えてしまっていて――すっごく友好的な感じがする。
「あっ、いえ、いいっすよ! モンスターがが狙ってたのは俺だし。ついでみたいなってゆーか、まきぞえくらって死なれたりしたら嫌だなって思ってたくらいなんで」
「ふむ。なるほどな。愛衣の言う通り嘘は苦手なタイプなんだな」
「は? なんすかそれ?」
「一緒に居た胸の大きな娘は覚えているだろ?」
「はい! すっごく可愛かったっすよね彼女!」
「あぁ、ヤツには特殊な技能があってだな。初対面の人の嘘ですら簡単に見抜いてしまうのだよ」
「へーすごいっすね!」
「ふっ。お前さんもたいしたものだよ。普通嘘が通用しない相手に対しては臆病になるものなのだがな」
「そーっすかね? 嘘が通用しないってんなら思ったことそのまま言えばいいだけじゃないんすか?」
「あ…いや。まぁ。確かにその通りではあるんだがな……」
なにか問題でもあるんだろうか?
先輩の表情が少しばかり照れているように見える。
「なんというか一蓮托生と言う意味で言ったら私と
「へー、そうなんですね」
まぁ、確かにすっごく仲が良さそうに見えたな。
腕に抱き着いてる姿も全身を預けてるみたいな感じだったし。
「まぁ、ようするにだ。愛衣のヤツがお前さんを気に入ってしまった以上。私も、お前を特別扱いしなければならないという事なんだよ」
「なんか、よくわかんないっすけど、わかりました。ところで尋問とかはしないんですか?」
「いや、まぁ、するにはするつもりだが。愛衣から勝手にしたらダメだと言われてしまってな」
「はぁ……」
「だから愛衣を迎えに行ってから聞こうと思う」
「そうなんですね」
「おっと、言い忘れる前に言っておくが、私の名は
「あ、はい。俺は――」
説明は不要だと手で制止され、父のお下がりで悪いが着替えを用意したから着替えてくれと制服を手渡された。
それから、式部家の両親も含め4人で朝食をすませ――先輩と一緒に愛衣さんの家へ向かったのだった。
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