15


 目覚めたら見たことのない天井だった。


【起動。克斗の意識覚醒を確認。報告。損壊した部品の修復は的確に終了。要求。各可動部の動作確認をして下さい】


 うん。どうやら俺の彼女(仮)は、あいかわらずのようで――なぜかすっごく安心した。

 とりあえず体を起こしてみて、手を動かしても痛みはない。問題なくベッドからも降りられた。

 なぜかぶかぶかのパジャマを着せられている。いったい誰のものなのだろうか?


「って、ゆーか! ココってどこ?」

【回答。非正規友軍プレイヤーと思われる者の住処】


 なるほど、気を失う前の記憶と、このファンシーな部屋からすると、あの二人――どちらかの先輩の部屋ってことなんだろうか?

 なんとなく目つきの鋭い先輩の部屋のような気がした。

 理由は一つ。床が畳だったからだ。


【報告。前回の戦闘によりナナシは欠陥品と判明】

「は? なんだそりゃ?」

【説明。ナナシはプレイヤー№1によって即席で作られたシステム。よって欠陥品と判断するのが適切】


 まぁ、俺も人のこと言えるほど出来た人間じゃないのは理解しているが、いくらなんでも悪く言い過ぎだと思う。


 それに――


 例えそうだとしても受け入れてやるのが俺の役目だ。

 どうせ言ったところで分かってはもらえねぇだろうけどな!


「バカかお前は! 昨日も言ったが俺達は一蓮托生だ! お前がどうであれこれからもよろしくってことに変わりはねぇんだよ!」

【危険。判断基準においての問題を多数確認。よって廃棄を推奨】


 どうやら頑固なところは、紅理から受け継いでいるみたいだ。

 ならば、ゲームと同じでいいだろう。こっちも文句をぶつけるのみ。


「処分も廃棄もナシだ! 俺は、お前と生きるって決めたんだから! お前もそうしろ!」

【警告。このままナナシと共存した場合。いかなる不具合が発生するか不明】

「不明ってことは分かんねぇってことじゃねぇか、なんの問題も発生しない可能性だってあるわけだろ?」

【肯定。その可能性もあります】

「だったら欠陥品とか言ってねぇで問題起こさねぇ努力をしろ! それで全て解決だ!」

【確認。このままナナシと共存した場合。不具合が発生する可能性大。それでもナナシとの共存を求めますか?】

「肯定だ! バカ! 何度も言わせんな! 俺達はこれからもずっと一緒なんだよ!」

【了解。ナナシは超広範囲索敵モードに移行します】

「あぁ、頼むぜ!」


 まったく、本当に紅理に似てやがる。

 なんとなくこれからも似たような展開が続くのかなって思っていると――


《コンコン》


 軽いノックのあと、ふすまが開いて――

 鋭い目つきの美人さんが制服姿で入ってきた。



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