第2話 セミの鳴き声がしない
レナが広げた地図をそらも覗きこみます
その広げた地図に書き込まれている地形は知らないものですし
地名も日本ではありえないカタカナの名前のもので明らかにそらの近所の地図ではありません
「ねぇレナこの地図どこの国の?」
「え?この地図はここら一帯の地図だろ?ほら、この1番近いメピメディウムっていう街はここからでも光が見えるだろ?」
そうレナの腕とは名ばかりの星の右腕(?)でそらの左側を指します
そこからは光が少し漏れ、街があるようです
「え、でも、でも...」
そらは納得がいかない様子で考えては声を出して困惑しています、レナはやっぱりそんなことを一切気にしないで
「よ〜し!行くぞそら!あの街までなら歩いて行けるぞ!」
「え、え、うん...わかった...」
そらはまだ納得していない様子ですが
鼻歌を零すレナ(傘)に引きずられる様に街へ向かいます。
涼しい夜風がそらの布をはためかせ月光が道を照らす
そんな道を少し歩いているうちにそらは違和感に気が付きました。
むしろなんで今まで気が付かなかったのか
「え、ねぇレナレナ」
「急になんだ?」
「なんで暑くないの?セミの声もしない
そういえばレナが来てからセミの声がしなかった気がする」
レナは少し困った様子で黙り込んでしまいました。
先に口を開いたのはそらでした
「でもいいよ、僕夏嫌いだもん
だって夏なんてセミはうるさいし虫は多いし蒸し暑くて眠れない
僕は暑いのが大嫌いなんだ、だからありがとう」
そう言ってそらは少しご機嫌にレナの前を歩き出しました。
そらの家から1時間ほど歩き...
いやきっと彼らにとっては10分程度にしか感じていない程楽しい道のりだったでしょう。
たどり着いた街は《メピメディウム》それほど大きい街ではありませんがそれなりに栄えた街です。ですがもう真夜中、誰も起きていなく閑散としています。
「ここがめぴなんとか?」
「そう!メピメディウム!メピメディウムって何か知ってるかい?」
そう言うと傘になっていたレナは元の星の姿に戻り自信満々に知識を披露します
「イカリソウっていう花の学名さ
イカリソウの花言葉は『旅立ち』今のオレたちにピッタリだろ?」
「うん!素敵!僕達のために作られた街みたい」
そらはそう言って目を輝かせています
日本ではあまり見かけない三角屋根の家が高低差のある地形に建ち並び
ヨーロッパの街並みを連想させます(行ったことないけどな)
「おいそら!こっちにすげぇ綺麗な建物があるぞ!!」
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