第11話

「あの……言ってる事がよくわからないんですが」

「いいかい。『のっそりへちま島』は百六十年前に放送された後、テープが上書きされて消えてしまった。しかし、その時、放送された電波はどうなったと思う?」

「ま……まさか!?」

「そう。ラジオと違ってテレビ電波はマイクロ波を使っているので、電離層に邪魔されることなく宇宙へ飛び出せる。そして百六十年かかって、ここに届いた」

「それじゃあ、外のアンテナは?」

「当時のテレビ電波を拾うためだよ」

「権堂さんもこの方法を使っていたんですか?」

「権堂君の行動を調べてみたら、君の会社から頻繁にワームホールを借りていたね」

「撮影のためと聞いてましたが」

「考えてみたまえ。レトロ映像ばかり出している会社が何を撮影するというのだ」

「ごもっともで」


 もっとも、僕は権堂氏の会社がどんな映像を出しているかはほとんど知らなかったが。


「しかし、権堂さんはどうしてこの事を黙っていたのでしょう? やはり、ライバルが出るのを恐れていたからでしょうか?」

「君。ここまで聞いてまだ分からないのかね。権堂君がこの方法を黙っていた理由を……」

「え?」

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