第11話 魔法の講義2
「空間収納箱は知っておるか?」
「「「ハイ」」」
元魔王以外は前世の知識だった。
「ではこの魔法を所有しているか?」
全員が持っていなかったようだ。
「アルジ様から与えられる”ハコ”は、この部屋程度の収納の力が有り収納した時点で特殊な効果で経年劣化せず、保存温度も保たれるが生物は入れる事は出来ない。良いか?」
「「「ハイ」」」
「取り出す場合は収納内容が空中表示されて意識で決定すると現れる」
(やったぁ、これで旅が楽になるぞ)
(私物は全部入れとこぉっと)
(何を入れるかのぉ・・・)
(あぁぁ、一回戻って大事な物を取ってきたいなぁ)
「ヘンシンは、使用者の想像力で大きさや色に形を変える事が出来る。例えば男から女に変身する事も可能で逆も出来るが、最も重要なのは細部まで明確に想像する事だ。それに比例して使用魔素量も変わってくる。解ったか?」
「「「はい」」」
「簡単なのは髪の色や目の色を変えるところから練習すれば良いよ」
「「ハイ!!」」
後ろで見学していたディバルの言葉に何故か女子二人がやる気を出している。
(アヤメちゃんに負けない程大きくするんだから)
(もっとお腹を細くしたいのよねぇ・・・)
「次は転移魔法だが、魔法陣には思考から大地の座標が読み取られて特定されるので、一度訪れた場所しか転移する事が出来ない。人数や持ち物が多くなると消費魔素量が増える。ここまでは良いか?」
「「「はい」」」
「では・・・氷炎魔法双剣の
スクリーバはハコを使い、二つの柄を出した。
「この魔法剣の柄は、属性を持たずとも魔素を使用して属性魔法剣を発動する事が出来る」
両手に持つ束から冷気を放つ魔法剣と、灼熱に燃える魔法剣が現れた。
「「おおぉぉぉっ!!」」
ショーゴとケントは目を輝かせていた。
「確認だか、魔剣と魔法剣の違いはしっているな?」
「「「・・・」」」
「なんだ、知らないのか」
「詳しくは知りません」
ケントが代表して発した。
「ふむ。魔剣とは剣に属性や魔法を付与した物であり、魔法剣とは剣そのものが魔法で形成され具現化している物だ。当然ながら使用魔素量は魔法剣の方が多く、攻撃力における効果も魔法剣の方が上である。ただし注意する点があり、一般の剣とは剣激が出来ない事だ。全てすり抜けてしまうので注意せよ」
「すり抜けるとは一体どういう事でしょうか?」
「そのままの意味である。魔法剣は防御を無効化し、敵の本体を切りつけるからだ」
「では魔力・・・魔素を帯びた魔剣や武具であれば対抗できると言う事でしょうか?」
「その通りだが、魔素の強い魔法剣が勝っているので抵抗出来る回数も限られるであろうな。当たり前だが魔素が枯渇すると使用できなくなるのが欠点である」
(じゃ僕が持っていた聖剣はそんなに強くないのかぁ・・・)
(双剣も良いかも知れんなぁ・・・)
元勇者と元魔王が双剣に興味を示し始めた。
「とは言え未熟な使用者が使う魔法剣と、魔剣自体が高い性能を保有していた場合や、所有者の力量ではこの限りではないので、所有者になれば常に鍛錬が必要だな」
(((・・・)))
「そして聖弓の
聖気が溢れる大弓が現れた。
「最大の特徴は魔法の弦を引くだけで魔法の矢が現れ、魔素の続く限り無限に矢を射る事が出来る。そして弦にかける指の本数で矢の数が変わる事である」
「「・・・」」
(あれなら持ち運ぶのも便利よねぇ)
(後方支援の私向きかしら・・・)
「続いて暗黒魔闘鎧と神聖魔闘鎧だが、アルジ様に実演して頂きます」
「まず、これは鎧と言っても魔法だ。したがって魔素が枯渇すると消えて無散するから注意する様に。それと武器や盾も同時に発動する事が出来る。肝心なのは鎧の形を正確に想像する事だ。とりあえず見てくれ。暗黒魔闘鎧・・・」
するとディバルの周りに漆黒の
完成したのは漆黒の全身鎧と剣に盾だ。
それは一切の装飾が無く、体に密着する鱗の様な鎧で剣と盾も簡素なモノだった。
「よく見ておけ。想像次第でこうなる・・・」
すると鎧の形が変形し、龍が鎧化したような装飾になった。
「「おおおっ」」
ショーゴとケントが反応した。
「双剣の説明でもあったが、この剣と盾は魔法で作られている。したがって一般の武器やちょっとした魔剣では太刀打ちできないだろうな」
(ちょっとした魔剣って・・・)
(そもそも魔剣自体が希少のはずだが・・・)
「つづけて神聖魔闘鎧だ・・・」
一瞬で暗黒魔闘鎧が無散し、黄金に輝く全身鎧が帯剣して現れた。
「凄い・・・金ピカだわ・・・だけど・・・」
「これって逆に狙われそうよね・・・」
女性達から辛辣な意見が出た。
「これは凄い!!」
「うむ。魔法で顕現する黄金の鎧とはな」
「保管場所を気にしなくて良いのが最大の利点だね」
「全くだ。好きな時に出して消す事が出来るのだからな」
「アルジ様、防御力はどちらも同じでしょうか?」
「それは扱う術者によって変わるけどな。基本性能は同じだ。ただし、性能よりも技術が劣っていたら敵対者に負けるからな。この鎧が絶対では無いぞ。良く覚えておけよ」
「「はっ」」
「あと、こんなのも出来るぞ」
そう言ったディバルの全身黄金鎧が部分的な軽装鎧に変化した。
「普段であれば、この方が楽だからな」
それは頭部に巻く鉢金の様なものと、首輪に胸当てで急所の保護と手甲に腰当だ。
「二つの鎧はそれぞれの属性を強化するから、よく考えて使いこなすように」
するとショーゴとケントが腕組みして沈黙してしまった。
どうやら、悩んでいるようだ。
(炎と氷の双剣も惹かれるが、魔導鎧も欲しい・・・)
(しかも対極する二つの魔導鎧なんて・・・どっちも欲しいよなぁ)
二人の思考は堂々巡りになっているようだ。
その点、女性たちは既に狙いを定めているようだ。
(私は弓しか無いわね)
(どう考えても双剣ね)
☆
講義終わり。
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