第10話 魔法の講義

第二段階は魔法を再確認し、いくつかの魔法を賜る事になる。


「それでは魔法についてべるが、お前たちは再確認すると良いだろう」

屋敷の一室でスクリーバの前に並んで座る四人だ。

後ろにはディバルとウルサも同席している。

座学の形をとっているがスクリーバは説明するだけで、聞いている者次第で質問を許される。


「最初に属性の説明だが、知っての通り基本となる属性は地、水、火、風、光、闇の六つに何処にも属さない無属性が存在し、それぞれが相克したり強化する属性があるので注意する様に。因みにお前たち四人は本来相克する属性を内包する上位の存在だと言う事を自覚する様に」

(((上位の存在・・・)))


「では魔法陣の説明からだ」

魔法、それは思考が結果を理解して体内もしくは外部からの魔素を使用し、理念と属性に基いて意識的に発動させる行為だが、古くから伝わる説明の口伝は詠唱と言う型となって受け継がれた。


異なる言語や手法に表現方法など、全ての種族が唱える詠唱魔法は魔法陣から発動する。

魔法陣で重要なのは魔法文字で構成する円の中に系統模様となるように魔法文字と属性を加え、魔素を保有する者が魔法詠唱すると視界で認識した標的に対して属性を伴った魔法が発動する為に思考と認識の重要性が高い。


「もちろん例外も存在する。私めや、我ら以上の存在は、手を振るだけで、または呼吸したり、意識するだけで魔法を行使する事が可能だ」

「それはスクリーバ様やアルジ様の事でしょうか?」

「ふむ。お前たちと私めでは天地ほどの開きがあるが努力すれば、多少は叶うであろう」

「「「・・・」」」

「因みに私めとアルジ様は更に遠く離れた存在である。何度も伝えるが粗相の無いように言葉遣いに気を付ける事だ。では魔法陣の話を続けよう」



龍国では魔法陣の事をと呼称している。

一花、二花は陣円も小さく、発光しない魔法陣も存在するので使用する者達にとっては魔法陣では無く”魔法”としての認識のようだ。

魔法陣は円で出来ていて階級が存在する。


一花 生活魔法陣と初級魔法陣で、最も種類が多く陣が発光する種類としない種類がある。

二花 医療系簡易魔法陣と支援系魔法陣は、二属性を保有して無ければ発動しない。

三花 移動系魔法陣と付与魔法陣は、高度な魔力操作が必要で扱いが難しい。

四花 中級魔法陣とは、下界での一般的な魔法使いの上限で様々な系統魔法が存在する。

六花 上級魔法陣は、多属性を要し調和の取れた安定した魔法陣だが大量の魔素と熟練の経験が必要で威力や効果も大きい。


また、それぞれの階級に積層型の魔法陣が存在する。

一次積層 主に着弾が速くなる。

二次積層 主に威力の調整が出来る。

三次積層 主に効果範囲の調整。

三次以降は更なる威力の増加に属性や時間制限するなど様々な要素を加味する事が出来、積層が増えると魔素量も増える。

積層は理論的に無限に重ねる事が出来るが、現実的に魔力が足りないので戦闘使用時は三次積層から五次積層が下界の限度らしい。



「・・・したがって、魔法陣と積層を踏まえて固有名称が定められている魔法も存在する」


「おい、ケント。聞いているか」

「も、勿論だよ。ショーゴさん」

「なに、理解しているのか!?」

「後でアヤメちゃんに聞こうかな・・・」

「そこはハルコじゃないのか?」

「そうだね。ハルちゃんにも聞いてみる」

「・・・」


元魔王と元勇者は、スクリーバの話を真面目に聞いているが理解しているかは定かではない。

元魔女と元聖女は、書く物を催促しスクリーバの言葉を聞きながら記入していた。




「次に魔法は想像力である」

詠唱とは結果をより具現化させる為に、自らの意識に言葉で補助する役目と同時に、未熟な想像力を強化するものである。


種族や民族に数多の宗教による洗脳的思い込みを誘発させる文言が呪文だ。

なので、結果を具体的に連想出来る者は思考だけで魔法の発動が可能なのだ。


必要なのは魔素と想像力で、付け加えるならば発動条件となる魔法名称や発動体だが、無くても発動は可能である。

発動体は指先、棒、杖、剣などの”その先から出る”と認識出来れば何でも可能だ。


強力な魔法ほど呪文が長くなるのは、その言葉で想像させる意識が大きいからだ。

したがって、無詠唱とは術者が結果の事象を知っており、尚且つ影響力を容易に思い描き、意識的に魔素を込めて放つ方法だ。



そこで簡単な実験をさせられた勇者だ。

一番簡単な火の魔法を無詠唱と詠唱で発動させられた。


結果はどちらも発動したが、無詠唱の火球はかなり弱かったようだ。

「初めてやったけど、小っちゃいのが出来た・・・」

「お前たちは練習有るのみ」

「その通りですな」

「後さぁ、俺から一言助言するならば、初級魔法に関してだけど名称は何でも良いぞ」

ウルサからも練習しろと指摘が入り、困った顔の四人を見てディバルが裏技を教えた。


「それはどういう事でしょうかアルジ様」

「見てろ。例えば光。灯り。・・・照らせ」

すると頭上に似たような光る球体が複数出来た。


「発動名なんて、ちゃんと想像出来れば何でも良いのさ」

「凄い」

「マジかよ」

「驚いた」

「知らなかった・・・」

光る球体の下でそれぞれが試していた。


「結果が同じであれば、どの言葉が一番効率よく発動して大きな効果が出せるのか、自分で確かめる事だな」

四人に多少やる気が出たように見えたディバルだ。



「最後に魔法の授与だ」

既に四人が賜った特殊魔法はカンラン、サクテキに、新たにハコとヘンシンと転移魔法だ。


「あのぉハコって何でしょうか?」

「空間収納箱だ。略してハコだ」

「「「・・・」」」

「あのぉぉアルジ様ぁ」

「どうした?」

「何かこぉ、ドカァァンって魔法は頂けないかなぁって・・・」

「こら未熟者の分際でアルジ様におねだりするとは良い度胸だな!!」

「まぁ待て」

「はっ」


魔女っ娘が物欲しそうに上目遣いで質問し、スクリーバに注意されるが本人たちのやる気を引き出すために用意した展開となった。


「じゃ、こうしよう。第三段階は本格的な指令で二組に分かれての行動となるがぁ、目に見えて成果を出した者に次の中から一つだけ魔導具か魔法を与えよう」


ディバルが用意したてのはこの四つだ。

氷炎魔法双剣のつか、もしくは

聖弓の弓束ゆづか(弦を引く動作だけで魔法の矢が現れる) 、もしくは

魔法で装備する暗黒魔闘鎧と、神聖魔闘鎧だ。

双剣と弓は、普段は手にする部位だけだ。


「この四つは成果の早い者が先に取得でき、同じものは与えない。欲しい物が手に入るよう頑張れぇ!!」


「あっ、アルジ様ぁぁ。是非拝見したいのですがぁ!!」

魔女っ娘だ。

「ワシも興味がある。先に見せてもらった方がやる気も出るのが道理だ」

「僕も見たい」

「・・・」

どうやらハルコは余り関心が無いようだった。







実演。


五花 神代初級魔法陣 使用魔素量が多く制御が難しく人族には扱えない。

八花 神代中級魔法陣 使用魔素量が多く制御が難しい人族には扱えない。

十二花 神代上級魔法陣 使用魔素量が多く制御が難しい人族には扱えない。

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