第167話 百聞は一見にしかず。
亮介の部屋は南向きで、窓にはレースのカーテンがされていた。今日は晴天で窓から明るい日差しが差し込んでいた。何が言いたいかというと……亮介の部屋は『めっちゃ明るい』ということ。はっきり言って目を細めたくなるくらいの明るさだった。そんな中で咲乃は一糸まとわぬ状態だった。せめてもの抵抗なのかうつ伏せで前を隠すも、形のいいお尻は全開だった。
口に出さないが亮介は律儀だった。何がというと咲乃が言った『京子と同じことして』を守り、同じところで止めた。まぁ半日でふたりの女子を全裸にしているのだから、それをもって『律儀』とは言えないか。京子のことまで考えが行くわけない咲乃は亮介が遠慮しているのだと思い、亮介の方向に体を向けながら言った。
「ねぇ、亮ちゃん。最後までしていいよ」咲乃は仰向けになる。誘ってるわけでも、キャラ付けでもなく、狙いもない。なので自然やさしい表情になる。
「遠慮してるのかな、と」ベットにもたれ掛かって座っている亮介の体に自分を密着させる。何も着てないのだからいろんな場所がお互いの体にあたる。胸を密着させながら上目遣いで咲乃は亮介の顔を覗き込む。亮介は照れて少し顔を赤くする。
「なに、亮ちゃん今更照れるの? あんな風に私の胸使った後よ? 呆れちゃうわ」狙ってないけど咲乃は小悪魔的に亮介をもてあそぶ。単に懐いてるだけだど。
「知ってた? 私怒ってたの。何にか、なんでかとかはいいんだけど。知ってたか、どうか知りたい」そんなことを言われながら亮介は当たり前の権利のように、空いていた左手で咲乃の胸を触り、軽く持ち上げた(知ってたけどデカイなぁ)亮介は咲乃の質問の『知ってた』を咲乃の胸の大っきさを『知ってた』に置き換えた(百聞は一見にしかずだ)使う場所、今でいいのかたずねたくなるような事を亮介は考えていた。
「知ってた。怒ってるのか、拗ねてるのか」その辺りの境界線は亮介にはわからない。ただ胸を触っていた左手を咲乃の『下』に移動させた『待て』子犬の躾をするように咲乃に叱られしょげると咲乃はわざわざ『今は待て』と付け足した。
「なんで」
「なんで?」
「なんで急になの。今まで色々アピールしてきたのになんでなの、何で今なの? なんで今日の?」咲乃は少し語尾を強めた(京子と何かあった後で気まずかったから? それとも同情? 別にいいんだけど、何この女子感? 私わけわかんないよ。別に同情でもいいはずなのに……)咲乃は胸にチクリとするものを感じた。
(ん? 待てよ。これって私『患ってる系』女子じゃない!? 恋的な!?)咲乃は全裸で発狂しかけた。
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