第166話 イキとしイケるもの。

 不意に言葉を掛けられた(いいの?)亮介の心地よい低音ボイスが咲乃の耳もとを刺激する。

(あっ、聞いてくれるんだ。優しい……)咲乃は迂闊にもうるうる来そうになる。キャラ付けしても乙女は乙女。だがしかし咲乃はここに至っても『キャラ付け』に全振りしてしまう。

「好きにすれば」ドS『監禁キャラ』に徹するも……いや、したからこそか。亮介に履いていたジーンズを剥ぎ取られ間髪入れずにパンツも。しかも、もう一度履かれることを警戒したのか亮介は『結構遠く』に咲乃のパンツを投げる。


 それで今。現在進行形でどうなっているかと言うと、亮介は咲乃の『局部』に触れていて咲乃は亮介の布団のシーツを噛んでせめて『えっちい声』を出さないように頑張っているものの……

(いくら頑張ったところで『そこの状態』把握されたら意味ないよな)咲乃は『監禁キャラ』ドSキャラを諦めて『乙女道』にまい進するかも、諦めムード満点になっていた。なぜなら……

(頑張ったところでそんなにわ、もうイクわ。イカされるわ。サヨナラ私のキャラ設定)そんなことを咲乃は考えていた。そしてホントにマジな話(出来うるなら……静かにイクことを願った)そう咲乃はイカない可能性も捨てた。


(生きとし生けるものなら仕方ない)そんな大層な前置きと共に割りかし派手に果てた。同級生にイカされた、しかも好意を持ってるいるけど咲乃の中ではそこそこの『ヘタれ族』に入る亮介に壮大に、しかも真っ昼間、言い訳の通用しない『えっ、イってないけど?』などと言えないくらいに完膚無きまでに『イカされた』しかも……亮介の飽くなき挑戦は続き、抵抗することなく咲乃は亮介の腕にしがみついで『大好き』などとくちばしりながらもう一度連続して果てた。


(ダメだ。完全に女子だ。しかも我ながらかわいい部類に入る女子感だしちった)賢者モードに浸りながら、はたけた下半身を隠さずに亮介をチラ見した。咲乃は亮介が目を合わさないことに気付く。

(気まずいのかなぁ。後悔してるとか?)


「どうしたの」これ以上ない状態『ハズさマックス』の咲乃は今更遠慮しなかった。気まずいとか後悔してるとかで、後々糸を引くより今聞いときたい。

「いや、その。咲乃の……胸を見たいんだけど」イカせた後にいったい何を遠慮してるのやら。咲乃は呆れると共にほっとした(よかった。後悔とかじゃなかった)安心した咲乃はついついキャラ設定を戻そう、そんな欲がちょっと出た。


「見るだけでいいの?」

「いや、さわりたい」

「亮ちゃん。さわるだけね?」遠慮せずに『なめたい』って言えばいいのに。Sキャラのテイスト復活に自信を持ちかけた咲乃の斜め上を行く発想で亮介は迫る。


「めちゃくちゃにしたい」

「え? え〜!?」咲乃のキャラ付け復活は失敗に終わり言葉どおりに『そこそこ』めちゃくちゃ触られた咲乃だった。



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