第8話 テンプレですが、何か?

「どうしよ亮介くん、はずかしいよぅ、教室帰るの」


 北町は顔を人はこんなにも『赤面』出来るのか、そうなんだと。


 関心さえ覚えてしまうほど赤に染めた。


 北町とキスをした。


 それを照れてるのではなく、教室でポロポロ泣いたことを恥ずかしがっていた。


 ここが自分の部屋のベットの上ならのたうちまわるんだろなぁ。


 あっ、今呼び方『冬坂とうさかくん』から『亮介りょうすけくん』に変わった。


「ここはテンプレどおり保健室か」


 この発言には全然意味も意図もない。だけど受け取った北町的には意味があった。


 ちょっと立ち止まった北町はアゴに指を当てて考える。


「亮介くん、テンプレどう思う?」


 うっ、物書きの永遠のテーマ。テンプレ。いや、そこまで大きくないか。されどテンプレ。


 このテンプレと並び議論されてきたのが『タイトルの長文化問題』いや、これもテンプレなのかもしれん。


「亮介くんはテンプレするの?」


 答えに困ってたオレに北町は質問を変えた。


「テンプレ…します」


「そうなんだぁ、そうか。どれくらいテンぷるの?」


 小説系JKらしく『テンぷる』など新語が現れた。


 意外とす―っと出てくるもんだなぁ。


「テンプレなぁ、そうだなぁ。かな?」


 北町は立ち止まった。あっ引かれたかなぁ。引くかもな。


 たぶんテンプレには『テンプレ至上主義者』と『アンチ・テンプレ』がいて。


 オレは『テンプレ至上主義者』だ。盛れるテンプレないかなぁ、そんなこと考えて生活してる。


 逆方向に『テンぷる』いわゆる『逆テンプレ』などもありなかなか豊富なことは豊富だ。


「北町はアンチテンプレ?」


 恐る恐る聞く。テンプレ議論はゴールのない難問だ。


「亮介くん、そもそも『テンプレ』ってなんだろ『キスしたくらいで、好きになったわけじゃないんだからね!』とか?」


「あぁ、そうだけど。そうなんだぁ」


「いや、今のは例えよ、例え。そりゃさぁ、好きじゃないとしないかなぁ、じゃなくて好きじゃないとしない!


「そう、そうなんだ。そうか、うん」


 断定形ってことは『好きじゃないとしない』を断定するわけだから、好きでいいよなぁ。


 どうしょ、ドキドキする。


「だから、まぁテンプレってパターンかな?転校生が遅刻寸前、パンをかじりながら激走、角で男とぶつかりぱんつが見える。ぷんスカ怒りながら登校、実はクラスメイトでした、みたいな?聞いてる?北町」


「それじゃ今『鈍感テンプレ中』なんだね?」


「鈍感テンプレ?」


「だってキスしてだよぉ、私呼び方変えたよね?なのに『北町』って。鈍感テンプレでしょ」


 あぁ、主人公めっちゃ『ハーレム』なのに女子の気持ち全然気付かないありえない系テンプレ。


 それが『鈍感テンプレ』なんだ。それを言いたいんだろ。


 実際そんなヤツいたら言われるよな。


 それがオレ!?


 うわっジト目だ!これもテンプレじゃないか!


「京子―さん?」

「『さん』付けって、君!」


 ダメだ、関西弁属性発動しそうだ。


「京子ちゃん?」


柚原ゆずはらさんもだったよね?」


 はっ!?なにこれ『テンプレ地雷原じらいげん』!?


「きょ、きょ、京子!」


「なんで最初っからそう呼んでくんないの?なんでさぁ、わざわざ『』思い出させるのよ、流石に私も怒るんだからね」


 テンプレ通りの『ツンデレ』に京子は満足そうだ。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る