第7章 第二の謎

第34話 電話

 会澤とランニングをした翌日の昼間、俺の携帯に突然電話がかかってきた。


 発信者の名前を見ると氷川だった。


 彼女が電話をしてきたことに多少驚きつつも、ちょうど『第二の謎』の解決に向けて動き出したいところだったので迷わず出た。


「もしもし、氷川か? そろそろこっちから連絡しようと思ってたんだよ」


『……』


「もしもーし、あれっ? 聞こえてるか? 氷川だよな?」


『聞こえてる。今暇なの?』


「聞こえてんなら返事しろよ。ああ、暇だ。そっちは?」


『こっちは平気。どう、調子は?』


「順調に進んでる。第一の謎についてはとりあえず考えがまとまりそうだ。残りの二つも目処は立ってるから、うまくいけばそう遠くないうちに推理をみんなに披露できると思う」


『ふーん、そう』


「それより、氷川にも協力して欲しいんだよ。第二の謎に関してちょっと訊きたいことがあってな。どこかで会えたりしないか?」


『京都まで来てもらえれば可能だけど』


「いや、それは無理だ。ていうか、まだ京都にいるのか?」


『今は。でも、再来週辺りにはそっちに戻る予定』


「じゃあ、戻ってきてから会うことにしよう。日時は追々決めるとして、あとは場所か。どこか行きたいところとかあるか?」


『映画館』


「……意外だな。観たい映画があるのか?」


『特にない。強いて言うなら、当日行ってみて席が一番空いてるやつ』


「なんだよその基準。まあ、とりあえず映画ってことでいいんだな?」


『構わない。帰る日程については詳細が決まり次第こちらから伝える』


「了解。また近いうちに連絡くれ」


 会話が終わり、静かになった自室で俺は電話を切った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る