第20話
七歳と二か月になった。
二年目の小麦の種まきシーズンも近くなったので、量産した炭灰や馬糞堆肥を積み込み、馬車を出発させた。
ノーザントースト号とサンダーサイレンス号の奇跡の配合(単なる荷馬車)に乗りこむと、やはりテンションが上がる。
田舎のヤンキーが軽トラ乗ってイキってる理由が、よく分かるというか。
風をきるように馬車を手繰りながら、マイクさんの畑に向かう。
まるで、風景画のような田園風景。
そのなかを自然に満たされた空気を吸いながら進むのは、やはり満足度が高い。
マイクさんの畑につくと、さっそく炭や灰を撒く。
そして、ノーザントースト号に犂を曳かせて、畑を深く耕していく。
ノーザントースト号の気性が穏やかで言うことを聞いてくれるので、俺が終始喜んでいる様子を眺めながら、マイクさんが言った。
「この馬は……、なんというか。農耕以外にも色々と器用にこなしてくれそうですね」
マイクさんの牧場主風なコメントを聞き流しながら、俺は農作業を順調に進め、種まきの準備を無事終えることができた。
そのときは聞き流してしまったが、マイクさんのこの発言の意味を俺が理解したのは、それから十年ほど過ぎてのことだった。
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