第102話そうだ! 迷宮へ行こう!
まさかバールを迷宮の外に連れ出した事で、その妹であるお姫様のフーレイゼに何故か目を付けられ転生者じゃないか疑われた。
バール、本名はバーリアムらしいけど彼は疫病神か?
そう思いつつも、やっと解放された事に安堵し部屋に戻る。
レストランではまだバール達が3人でまだ話しているが、家に帰って来いだの、お礼の品を渡さないと信義にかけるだの、そしてフーレイゼに至っては迷宮都市まで来たのだから迷宮探索をしたい等、それぞれのそれぞれの言いたい事を言い出して家族会議みたいになっている。
まあおかげて逃げて来れたんだけど…。
部屋に戻ると、カトレア達は興味なさげにソファーで寛ぎながら、どうだったか質問をして来たので、話した内容を伝える。
「ふぅ~ん、じゃああのお姫様、フーレイゼだったかしら? あの子はカツヒコが転生者じゃないかを確認したかったって事?」
「多分…、なんか階段から落ちて死んだ人の物語を聞かされて意見を求められたけど、その際の反応で多分転生者かどうか確かめるつもりだったっぽい」
「そう、確かカツヒコは酔っ払って階段から落ちて死んだんだったわね。 なんだか話がピンポイント過ぎない? カツヒコが死んだ時と同じような物語なんて。 どうやって知ったのかは分からないけど…」
「この世界に転生する条件が階段から落ちて死ぬことなんじゃない? だから物語として伝わっているとか…」
「それは無いわ、転生者は別の世界で死んでこの世界に来るけど、死に方はそれぞれよ。 だからこそ聞かされた物語がおかしいのよ、カツヒコが酔って階段から落ちて死んだ事を知っている感じよ」
「と言われても…、酔って階段から落ちた時…、…何かを掴んだ? いや誰かを巻き込んだ気が…。 まさか! あのお姫様は転生者で自分が階段から落ちた時に巻き込んで死んて転生した?」
そう口に出した事で自分の中で話が繋がった気がする。
フーレイゼってお姫様は見た感じ自分と同い年ぐらいな上、鉄の乗り物、駅、と言う言葉を話していた、多分…、いやほぼ確実にフーレイゼは転生者で自身を巻き込んで死の要因を作った人間を探している。
同じくこの世界に転生していると信じて…。
「どうしたのカツヒコ、難しい顔して考え込んで、なにかあった?」
「フーレイゼも転生者だと思う。 多分前世で彼女を殺した人間が自分か確かめようとしてたんだ」
「それで、確かめてどうしたかったのかしらね…」
「多分、恨みを晴らしたいんじゃない? 結構話をしてる時殺意が籠ってたし…。 カトレア、バールからお礼はされてないけどこれ以上あのお姫様に関わると厄介だからとっとと迷宮探索に戻ろう!」
「そうね、カツヒコが前世でやらかした事のせいで私達まで巻き込まれるのは面倒だからそうしましょう」
カトレアと自分の話を聞いていたルイーズさんとリーズも同意見のようでリーズは宿を引き払う手配をしに行った。
明日の朝、宿を出る時に引き払う事を伝えた方が情報が漏れないような気もするけど、高級宿だから客の事を他者に漏らす事はよっぽどの事がない限り無いらしい。
それにしてもまさかフーレイゼが転生者の可能性があり、それも自分が死んだ時に巻き込んだ人だったかもしれないとはな…。
うん、深く考えるのはやめよう!!
人違い! きっと人違いだ!!
そう自分に言い聞かせ明日に備え、風呂に入って寝る。
今日のうちに色々と補充しておいて良かった。
そして翌日、空が白みだした頃、宿を引き払い迷宮へ向かう。
「それにしても、まだ明るくなる前に宿を出るなんて、ホント夜逃げみたいね」
「なんかスイマセン…。 自分の前世の死に際のせいで…」
そんなやり取りをしつつ、迷宮へ向かう。
街中よりも迷宮の方が安心するってどうなんだろう…。
あとがき--------------------------------------
本日から新作の「戦国時代の初期にタイムスリップ? いえ、ここは異世界らしく天下統一の為に召喚されたみたいです」を投稿いたします。
5月度は毎日更新しますのでお読み頂ければ幸いでございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます