第103話迷宮探索の再開
逃げるように迷宮の下層へ向かう事数日、29層にあるマインの町に到着した。
まあ逃げるように迷宮へ向かったけど、バールとお姫様には簡単な書置きを残して宿の人に預けてきたから転生者だとばれない為に迷宮に行ったとは思わないだろう。
多分…。
なんせお姫様には自分達は冒険者であるし、流石にバールを助ける為に迷宮内に残して来た物があるので他の冒険者に奪われる前に回収の為に迷宮へ行くと書いておいたし、バールにはほぼ同じ内容に加えお礼は次に会う機会があればと書いておいたからだ。
本音は逃げたと思わせず、これ以上、フーレイゼに転生者じゃないか探られるのを防ぐ為だけど…。
それはさておき29階層にあるマインの町に入ると何やら冒険者が騒がしい気がする。
宿をとった後、酒場に向かい情報収集をするとどうやら34階層のサヴェジゴブリン狩りで現在盛り上がっているらしい。
原因は自分が集落を発見し殲滅し、貯め込んでいた武器や防具などを回収して来た事にあるらしく、集落を見つけ殲滅すれば過去犠牲になった冒険者が持っていた物が手に入るとあってブームのようになっているらしい。
しかも既に幾つかの集落を殲滅し、その際に手に入れた物の中に結構な値打ち物があったらしく、しかも集落を発見し殲滅できなくてもメレンが群生してる場所を見つけて収穫すれば無駄足にはならないとあって大人気との事だ。
自分達が殲滅した集落にはそこまで良いもの無かったどころか上位種が居て助けた人を地上まで送って行ったら面倒事に巻き込まれたぐらいなのになんか不公平な気がする…。
そう思いながらも、酒場で情報収集をしつつ食事をし宿に戻り明日以降の方針を話し合う。
カトレアは当初34階層でメレンを大量に収穫するつもりだったみたいだけど、現在は冒険者が34階層に行っている為、最初に行った時と比べ群生地を見つけてもメレンが実っているかも分からない為今回は34階層をスルーして下層を目指す事にしたらしい。
確かにサヴェジゴブリンの集落を探して見つからなかった冒険者がメレンを収穫して帰って来ている現状だとそうなるよね…。
翌日、マインの町を出発し下層へと向かう。
34階層までは既に通った道だし最短距離で進めたので3日程で到着し、そのまま35階層へと足を踏み入れる。
35階層は遺構型迷宮となっており石造りの通路が入り組んでいる。
「これはまたスケルトンが出てくるパターン?」
そんな軽口を叩きながら進んで行くと、通路の奥から何やら蠢く物体が近づいて来た。
「カツヒコ、リーズ、スライムよ!! 種類は分からないけどスライムは体内に獲物を取り込んで溶かして栄養にする生き物だから気を付けなさい」
「気を付けろって言われても斬れば良いんでしょ?」
「ただ斬っても無駄よ、体内にある核を破壊しない限り死なないから核を破壊しなさい! それと体液には直接触れないように! スライムの体液は大体酸だから溶かされるわよ!!」
カトレアがそう言い見本と言わんばかりに剣を魔纏で覆いスライムの核を素早く破壊する。
核を破壊されたスライムはその場で溶けるように液体となり地面に水溜りを作り、その後地面に水分を吸収されて消滅する。
う~ん、これって自分やカトレア、ルイーズさんみたいに武器を持って
る人は問題なさそうだけどリーズみたいに魔闘技で戦う人には不利なような…。
そう思いつつもリーズの方を見ると魔闘技と魔法を組み合わせてスライムの核を的確に破壊してた。
普通は躊躇すると思うんだけど、カトレアにシゴかれて感覚がマヒしてるのかな?
そして35階層を抜けて36階層、37階層も踏破したけど遺構型迷宮で出現するモンスターもスライムだけだった。
下層に向かえば向かう程スライムが大きくなってたけど、倒し方が分かれば所詮スライムでしかないので簡単に倒せたけど、魔石は無いし倒しても得る物が無いのが難点だ。
宝箱も4つ程発見したけどカトレアの部屋に有ったアイテムに比べたらオモチャ程度の物だったし残念な階層だ。
「カツヒコ、あなたね~、私の居た場所にあった魔道具やアイテムとかは結界の影響で高品質な物があったけど、これが普通なのよ!! オモチャ程度って言うけど売ればそれなりのお金になる魔道具よ」
「まあそうなんだろうけど、どうしても比べてしまうんだよね…」
そう言う自分に呆れ顔のカトレアだけど、初めて目にして手に入れて魔道具やアイテムが最上級品だとそれ以降に手に入れた物がショボく見えてしまう。
ルイーズさんは「まだ中層に足を踏み入れた程度だから手に入る魔道具もその程度だろ!」と言って気にした様子もないし、リーズは魔道具にあまり興味が無いのか早く下層へ行きたそうにしてるし…。
その後も順調に進み10日程かけて49階層にあるパダムの町に到着した。
う~ん、34階層は自然型でメレンが収穫出来たけど、その下の35階層から49階層までは遺構型と洞窟型で特に得る物も無かったな…。
魔石は手に入ったけど、素材が取れるような魔物も居なかったし。
そう思いながらもパダムの町に足を踏み入れる。
それにしても49階層なのに町があって人が生活しているのが不思議だ。
ここまで来れる人は冒険者でもそんなには居なさそうだけど意外と人が多く活気に満ちている。
何故に?
あとがき--------------------------------------
本日から新作の「戦国時代の初期にタイムスリップ? いえ、ここは異世界らしく天下統一の為に召喚されたみたいです」を投稿いたします。
5月度は毎日更新しますのでお読み頂ければ幸いでございます。
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