かごの鳥と魔女の落とし子

ふじゆう

プロローグ

―――もしも、あの時、君から差し出された手を握り返していたなら、いったいどうなっていたのだろう。


―――そう考えない日は、一日たりともない。


―――君の事を、考えない日はないのだから。


―――君と見た景色。


―――君と触れた感触。


―――君と嗅いだ匂い。


―――君と味わった味。


―――きっと、五感でとらえた全てのものが、真新しくて、刺激的で、かけがえのないものになっていたはずだ。


―――でも、後悔なんか、ちっともしていないよ。


―――だって、またいつか君に会えたなら、土産話の百や二百は期待できるだろうから。


―――君だってそうだろう?


―――いつまでもいつまでも、君の帰りを待ちわびている

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