第13話 キャラバン隊、北へ(三)
大沼公園を出て、森町で名物のいかめしを購入し、噴火湾をぐるっと廻る格好で国道を進む。
天気は曇りであまりよろしくない、あまり立ち寄り先も思いつかないまま伊達まで進む。
このあたりでクロマルが暴れだしたので道の駅で長めの散歩、いかめしを食ったら眠くなってきたのでは昼寝。
ベッドメイク面倒だし、快適だと寝すぎてしまうので後部座席で足を曲げるように横になる。
1時間ほどで再起動しスタート、室蘭へ入り地球岬に立ち寄るが、ガスってて何も見えない。
クロマルはあちこちにマーキング、端っこを取ると領土が増えるらしい、オセロか、襟裳岬へは行かんぞ。
現在地から道東へ向かうには日高山脈が立ちふさがる、ここを通過するには日勝峠を越えるか襟裳岬まで南下して迂回するかだが、今回は最短コースの日勝峠を越えることにする。
単調なドライブに飽きてきて、ショートカットのつもりで白老から高速に入ったのが失敗。
ナビの表示がわかりにくく、騙される格好で分岐を日高方面へ入ってしまう。
しばらくしておかしいと気づいたが、運転しながらでは地図の確認もできず、高速では∪かましもできないため、そのまま走行し出たのは厚真。
来た道戻るのもなんだし、ここまで来てしまったので、当初予定を変更して237号線から占冠へ抜けて日勝峠を目指すことに。鵡川町に入り道の駅でクロマルのガス抜きをしているといいものを発見。
この道の駅、温泉が併設、風呂に入れる、やった!
あまり汗をかく季節でもないが、さすがに4日も風呂に入っていないと頭が痒くなってきた、これ幸いとクロマルを留守番させ久々の入浴。
さっぱりしたのはいいが、時間がかなり押してきて少し焦る。
山間部に入り占冠を目指すがまたもクロマルが暴れだし、何かよくわからないだだっ広いところがあったので車を停めてかなりたっぷりの散歩、二風谷ダムだった。
暗くならないうちに峠を越え十勝へ抜けたかったがもう無理、気が急いていたせいで占冠でちょっと気になった施設をスルーしてしまった、それはガソリンスタンド。
すでに日は落ち、真っ暗な日高の樹海の中を峠に向けてひた走る。
上り勾配がきつくなってきて、8合目の辺りから濃霧の中に突入。
前方は10メートルくらいしか視界がなく、雪国によくある路肩の下向き矢印の表示板が頼り、その向こうは谷底。
ナビの画面でカーブの有無とRを確認しながらのノロノロ運転、対向車が来ないのが救いだ。
最高地点を越え下りになり視界が良くなってきた時分に別の問題、それは気になっていたガス欠。
すでに登っている途中から赤ランプ点灯、あと何キロ走れるのか?
大都市で生活している者にとってはガソリンスタンドなんて探さなくてもそこらにあるし、幹線道路沿いなら24時間営業も普通、しかし!?
ここは広大な北の大地、都市部を離れるとそこは荒野、そして都市と言っても札幌以外は雑魚。
時刻はまだ20時過ぎ走っているのは国道なのだが、十勝清水でようやく見つけたスタンドは営業終了。
人の住む集落の近くでないと街灯すら無く、コンビニと飲み屋以外は20時には閉店、ファミレスなどは無論無い。
これまでの高速のインター付近には深夜まで営業しているガソリンスタンドが有り周辺はラブホ街という常識が吹っ飛ぶ、インターはただの出入り口でそれ以外の何モノでもなく他に何もない。
高速道路においても広大な北海道であるにも関わらず4箇所しか給油できるサービスエリアがない、うち24時間営業は札幌と千歳の間の輪厚のみで他は20時迄という状況から推して知るべし。
「止まるな、止まるな、止まるな」と念じながら走ること数十キロ、かろうじて21時閉店のスタンドを見つけ滑り込む。
ほっと一息ついて、今夜の寝場所を求め帯広市内へ、コンビニで買い物してから地図でクロマルの散歩向けの大きな公園を探しそこの駐車場へすべりこむ、キツい一日だった。
後で知ったが、道東自動車道は未だ細切れの開通だが日高を貫通するトンネル主体の区間はすでに通行可能で、あえて日勝峠超える必要はなかった。
手持ちのロードマップが古くナビの地図データも更新されていなかったせいで突っ込んでしまったが、峠を死ぬ思いで越えることもなく燃料ももう少しもっただろうというのは後の祭り、あんな時間に濃霧の中を峠越えをする者がいるはずもなく、どおりで対向車が1台も無かったわけだ。
翌朝、早起きのクロマルと早朝の公園を散歩、緑が多く気持ちのいい公園でかつて世界最長だった400メートルもあるベンチがあった。
歩いている前をリスが横切り、クロマルがぴょんと追いかけようとしてリール式のリードが伸び切り首が絞まる、バカ。
クルマに戻り、クロマルは牛乳飲んだあといつものカリカリとスティックパン、白菜効果かお通じは快調だ。
自分はコンビニのドーナツと缶コーヒー、ドーナツは半分近くクロマルにカツアゲされる。
まだ朝早すぎて観光しようにも行くところがない、最終目的地へは明日到着すればいいので、日本の実質的な最東端を目指すことにし、38号線を釧路方面へ。
釧路の手前、白糠の道の駅で休憩、津波来たらイチコロだなと思いながらクロマルを連れ恋問海岸を散歩。
腹が空いたので併設のストランにて帯広で食いそびれた豚丼を食う実質これが朝食、クロマルの待つクルマに戻って恒例になった昼寝。
けっこうがっつり2時間ほど仮眠し再スタート、さすがに連日の車中泊とクロマルの早起きのせいで疲れが溜まっているのを自覚する、まあ明日で一区切りだ頑張ろう。
釧路を抜け44号線で厚岸浜中と過ぎ根室に入り風蓮湖の横の道の駅で休憩、ドラマのロケ地だったとかで南極舞台のドラマセットがあった、ドラマ自体を見ていないのでどういうシーンだったのかここが南極的なのかは不明。
市内で遅めの昼食に名物のエスカロップを食べる、エスカロップはバターライスにトンカツがのっかったもの、ちなみに釧路名物はナポリタンにトンカツのスパカツ。
離島や北方領土を除いた実質的な最東端の納沙布岬に到着、海の向こうに北方領土が見える、遠くの島影は国後かな。
クロマルをモデルに北方領土背景に写真を撮ろうとしたがじっとしていないし、目線をよこさない映えないやつ、ここでもあちこちマーキングし自分の領土拡張に怠りはない
根室を出て野付半島に周り原生花園で夕方の散歩、何も咲いていないので誰もおらず散歩には具合がいい。
ここで時間調整し、別海町のドライブインに向かう、ここでのお目当てはポークチャップ、実に特大の700グラム。
焼くのに時間がかかるので要予約、朝から3食豚ばっかり食うことになるが勢いでいっとけって感じ。
食って食えないこともなかったが、3分の1ほど持ち込んだジップロックにクロマルの分のお土産として持ち帰る。
ソースがついているので、水で表面をすすいでから留守番していた奴へ、ペロりとたいらげる。
もうすでに暗い、目的地はすぐなのでに向かってもいいが行ったところでなにもない。
今夜も手頃な場所で車中泊ということだったのだが、ちょうどいい道の駅も無く、では公園か何かということで中標津の開陽台を目指す。
ここは公園というよりは展望台だったが、駐車場とトイレとが使えれば問題なし、これ以上の移動はダルかったのでここをキャンプ地とする。
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