03話 ENDmarker.

 後ろから。

 衝撃。


 抱きついていた。彼女。


「どこにいくの?」


 問いかける。


「ぼくにも分からない。どこにも行かず、ただ消えるんだと思う」


 彼女。暖かい。


「消えないでよ。行かないでよ。私と一緒にいてよ」


「うれしいなあ。その言葉が聞けただけで、しあわせだよ。ありがとう。一緒にいてくれて」


 振り向いて、抱き返す。


「ぼくのことは気にしないで。忘れてしまうだろうから。幸せに生きて、幸せに暮らしてね。それだけが、ぼくの」


 最後まで。

 言えなかった。


 彼は、夜の街に融けて。


 消えていく。


 街並とネオンの灯り。星空。


 彼女だけを残して。

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