恋の終わり、聖夜

春嵐

01

 彼と、別れた。

 クリスマス前にありがちな、在庫整理のような恋愛関係の変化。その流れのなかで、私と彼も、離れる。

 特別、理由があったわけでもない。ただ二人でいて、そして、彼が唐突に、別れてほしいと言った。そして私は、首を縦に振った。それだけ。それだけで、二人の恋は終わった。

 彼とは、幼稚園以来の付き合いだった。幼稚園の頃から、彼は周りと深く付き合わないようにしていて、私以外の人間と話すこともなかった。

 いちど、子供心に訊いたことがある。なぜ他の人と喋らないのか。人付き合いが苦手なのかと。


 彼は、違うと言った。


「他人のことは好きだし、見てると楽しい。でも、自分はいつ消えるか分からないから。いついなくなってもいいようにしてる」


 いつ、いなくなってもいい。そう言っていたから。別れようと言われても、引き留めたりはしなかった。いつか来るだろうと思った日が、来ただけ。


 幼稚園以来の、恋人がいないクリスマス。


 仕事でも入れようかな。

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