不安

「これから...俺達どうするの......?」


不安気に問う彼は震えていた。

それもそうだ。今となっては家族の顔も,名前も,住所すらわからない。

俺達に残されたのは兄弟だけだった。

見た目が大きく変わってしまった弟と,楽観的に考えることが難しくなってしまった俺。

何も考えずに笑って


「きっとなんとかなるさ」


なんて,言えなくなってしまった。

重い空気が嫌になったのかルプルもクレールも部屋の外に行ってしまう。

静かな部屋に秒針の音だけが鳴る。

不安になる。

これから先,俺達に幸せな未来なんてないと

そういわれているかのように。


「...ゆっくり考えよう。今は,休んでいていいから。」


無理矢理口角を上げて,苦しいのが悟られないように。

頭に浮かぶ文字はどれも暗いもので,

少しずつ,世界から色が失われていく気がした。

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