第6話

「おい嘘だろ」


 目の前で。


 全体指揮官が吹っ飛んだ。


「狙撃か」


 撃たれた方向。すぐに索敵。

 いた。


 墜落している。全体指揮官がカウンターで落としたらしい。ただ、まだ、生きている。


 全体指揮官の能力をすべて奪われたが、動けないのか、墜落した場所から動きがない。


 くそっ。


「後方支援から全体に」


 叫んだ。


「全体指揮官がやられた。指揮を移行されたので、ここからは後方支援担当が全体指揮を兼任する」


「おうさ。全体指揮了解。指揮移譲を確認」


「予備兵力了解。で。どうすんの。指揮官やられたら能力差がやばいよ?」


 考えた。五分五分の能力。


「防御の円陣を捨てて、乱戦に移行する。個々で戦闘を開始。攻めるぞっ」


「了解」


「了解」


 円陣が、ぐちゃぐちゃになる。


 考えた。


 最後の、全体指揮官の言葉。俺の能力を。そう言った。でも、能力自体は相手の狙撃者に全部持っていかれた。


「くそっ」


 そういうことか。


 わかった。


 でも、難しすぎる。


「予備兵力。戦場をゆっくり移動させろ」


「えっ。ここで乱戦じゃないの?」


「乱戦をコントロールしながらゆっくりだ」


 守りを捨てたから、敵味方ともに犠牲が出始めていた。あと5分もしないうちに、ラストスタンドまで行くだろう。


「予備兵力」


「次は何?」


「通信妨害の準備。おまえがやられたら起動しろ。そして、俺のひとつ前に死ね」


「通信妨害ね。わかりましたよお」


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