第31話 その5
「昨日、こちらの佐藤ちゃんから聴かれたと思いますが、今、スカートめくりというか、パンチラが流行っています。これを早く止めさせたいんです」
あたしの言葉に興味がないのか、会長の視線は書類に戻りつつあった。
「その事ならもう手はうってある。次の委員会で注意する、それで終わりだ」
次の委員会ってたしか2週間後だよね、そんなに待てない。
「今すぐ注意できないんですか、すでに被害者が出ているんですけど」
「被害者?」
あたしは、はっちゃんの事を話した。すると会長は眉間に皺をよせるが、それでも委員会で通達するという返事だった。
「何故です。クラス委員長にメールなり文章で注意するだけでしょうが。なんでそんなに間を空けるんです」
会長は無視しようとしたので、近くに寄ろうとしたら、副会長が前に立ちさえぎった。
でかい、カトーちゃんムトーちゃん並みに背が高い。艶やかな黒髪ロングストレートと知性的な顔つきに眼鏡。
くっ、知性のオーラが威圧してくる。
それに、それに、……くそっ、なんて巨乳だ、そっちでも威圧してくるなんて。
「もう下がりなさい、この件は済みました」
「済んでないです、早く解決してみせないと、そのコが転校させられるかも知れないんです」
「たかがスカートめくりで転校なんて、有り得るわけ無いでしょう」
いや、はっちゃんパパを知らないな。あの人はたぶん本気でやる、そう感じた。
「ではもし転校するという事態になったら、どう責任をとる気なんです。あたしはその1年生のところに家庭訪問してきました。親御さんはもうそのつもりでしたよ」
「そんなバカな」
「きわ…じゃなくて、青草くん。廿日さんのお父さんてどんな人だった?」
急に話をふられて驚いたようだが、頑固者で娘を溺愛していると、ちゃんと伝えてくれた。
「そんな方なのか」
おお、究の言葉は信じるのか。なんかくやしいが、それならそれでいい。
「サイアク、転校した場合は何もしなかった生徒会に汚点が残りますよ」
その言葉が気に障ったらしい、副会長の言葉が少し高くなった。
「残らないわよ、そのような事態があったなんて知らないのだから」
知らぬ存ぜぬを通すつもりか、そうはさせるか。
「すでに投書がきていると聴いてます。たとえ投書を握りつぶしても、出した生徒達は覚えていますよ。それでも動かなかったという状況が残ります」
言葉につまった副会長が睨んでくる。負けるか、睨み返してやる、副会長がなんだ、知性がなんだ、ちょっと眼鏡美人なのがなんだ、巨乳が…巨乳が…、
くそっ、巨乳がなんだー!!
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