第23話 その5

「ええ、舞ちゃんが転校…」


 全然事情を知らないムトーちゃんに解ってもらうため、ことの次第を最初から全部話した。


「たかがスカートめくりで転校なんて、その親父なに考えているのよ」


カトーちゃんが憮然として言う。


「そうは言うけど、パンツごとスカートを下ろされたんでしょ? ビトーちゃんと同じタイプならショックをうけるわよ」


なだめるようにタカコが言うが、カトーちゃんはおさまらない。


「青草も青草よ、バカ正直でKYなんだから。よけいな事を言いやがって」


怒りにまかせてだんだん荒ぶるカトーちゃんを、タカコがなだめるが静まりそうにない。あきらめてタカコがあたしに話をふる。


「それであげは、どうするの?」


「ダメ元で生徒会に言ってみる。それでみんなにお願いしたいのは、それでダメだった場合のことよ」


「あたし達で流行りを止めるってこと? どうやるのよ」


「インフルエンサーのカトーちゃんに言ってもらうのは?」


「ごめん、パンチラファイトの殿堂入りしたあたしが言っても、説得力無いから無理」


「それもそうか。じゃあタカコだったら」


「サトーちゃんの効力は、このクラスまで。全校までは届かないわ」


少なくとも、はっちゃんのクラスだけは、止めさせないといけないからね。さすがに無理か。


いいアイデアが出ないので、皆黙ってしまった。


「とりあえずさ、どのくらい流行っているか調べてみよ、それくらいなら出来るからさ」


タカコの提案に、皆が頷いた。


「それと、そのはっちゃんだっけ? そのコにも話を訊きたいな。あげはとビトーちゃんが会いに行ってくれる?」


「あたしは印象悪いからなぁ。はっちゃんパパが、機嫌損ねるかもしんない」


あたしが困っていると、ムトーちゃんが口を開く。


「じゃあ、わたくしがビトーちゃんと一緒に行きましょう。だからサトーちゃん、今日は部活休むわ」


「うーん、大会が近いから次期エースには練習してもらいたいけど、しょうがないか。それとあげは、生徒会にはあたしが行ってくるから、あんたは帰りな」


「なんで」


「しじみちゃんを、迎えに行かなきゃならないでしょ。大丈夫よ、部活行く前にちょっと寄るだけだから」


「ごめん、みんな、助けてくれてありがとう」


あたしがお礼を言うと、みんなそれぞれに気にするなと言ってくれる。


「気にしなさんな、あとで借りは返してもらうから」


「あたしは身体で返してもらおうかな」


「じゃ、あたしは焼きそばパン」


「わたくし達はどうしましょうかね」


カトーちゃん、タカコ、ムトーちゃん、ビトーちゃん、シューガールの4人は笑いながら言う。


うん、必ず返すよ。ありがとう。

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