第4話 その3

「やっぱさぁ、あげはって履いてないんじゃない」


「そんなこと無いでしょ。体育の時、ふつうに着替えてたじゃん」


「んー、でも、スカート着けたままスパッツ履いてたから、よく分かんないのよね~」


「ノーパンで学校に来るヤツなんていないわよねぇ、ビトーちゃん」


「その質問はビトーちゃんに訊かないで。カトーちゃん」


「あ、ゴメン。刺激がつよすぎた?」


「真っ赤になったビトーちゃんも可愛いです」


「ムトーちゃんは、ビトーちゃん好きだねえ。なにやっても可愛いって言うんだから」


「話を戻すわよ。あたしはやっぱり、あげはは履いてないと思う。そうじゃなきゃあんなに拒まないじゃん」


「んじゃまあ、それでいいんじゃない。あげはは履いてない、はい、決定」


 というような会話が、シューガールの集会であったらしい。


 シューガールというのは、タカコをリーダーとするチームで、

佐藤タカコ

加藤ジュリナ

尾頭アリサ

そしてクラスは違うが、タカコと同じ剣道部の

武藤ナデシコ


 砂糖と加糖と微糖と無糖で、シュガーのガールで、シューガールだそうな。ムトーちゃんが仲間外れな気がするが、気にしないでおこう。


 ともかく、シューガールの行きつけの回転寿司屋ブシドーで、そんな会議? が、行われたらしく、いつの間にやらあたしは[ノーパンチャレンジ]をしているという話になっていたらしい。


もちろん、あたしは一切知らない。


 ただ、いつからかクラスの連中だけでなく、校内のすれ違う生徒からも、やたらと腰回りを見られているなとは感じていたし、なんかひそひそと噂されているのは、気になっていた。


「ねぇタカコ、なんか最近変じゃない」


「なにが」


「なんか、あたしがウワサの的になっている気がするんだよねぇ」


 休憩時間に、相変わらず女子達がチラ見せ合っているのを横目で見ながら、キョドっているタカコに話しかけてみる。


「そ、そ、そ、そうかな、ふ、ふ、ふ、ふつうじゃないかな」


「タカコ、あんたは詐欺師と女優になるのだけはやめときな。さあ、洗いざらい全部知っていることを話してもらおうか」


「な、な、な、なんのことかな」


「……カトーちゃん、タカコを偽証罪で告訴したいんだけど、受理してくれる?」


「執行猶予つけてくれるんなら、受理するわよ」


「う、う、う、裏切り者ーーー」


 カトーちゃんは、シューガール会議の内容を話してくれた。なにぃ、あたしが[ノーパンチャレンジ]してるってぇぇぇ。


おいおいおいおいおいこらおい


どうしてくれるんだ、乙女のイメージ傷つけやがって。


「いやその、らしいよって、ちょっと話したらいつの間にかこんなに広まっちゃって」


「広まっちゃって、じゃないでしょう。どうしてくれんのよ」


「だからちょろっと、パンツ見せてくれれば、間違いだって、みんなわかるから」


「学校中をパンツ見せて歩けっていうの? できるわけ無いじゃん、どうしてくれんのよ」


平謝りするタカコを見ながら、あたしは頭をかかえてしまった。


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