第21話 12月25日 サンタからの贈り物

「お母さん、今年はまだツリー出さないの?」

 12月の初めそう聞いてきたのは子供たちじゃなく旦那だった。


「来年は小さいツリー買おうかな」

 子どもたちが大きくなった今、ツリーを出すのは結構面倒だ。


「だって、大きいの欲しいって言ってたじゃん」

 それ、20年前ね。


「いいよ、これで。小さいのじゃ寂しいじゃん」

 私は変われば変わるものだなとおかしくなった。

 結婚前は、子どもはうるさいから苦手だと言っていたのに……。

 しかたない、出してやるか。



 クリスマスの朝。

 ツリーを見ると、小さなリボンのかかった箱が1つ置かれていた。

 ?


 誰に?


「あれ、サンタさんが来たんだ」

 華がニヤニヤして箱を覗き込んでいる。


「これ華の?」

 彼氏にでも貰ったのを見せびらかしたいのかな?


「私のじゃないよ」


「今年は恭ちゃんと私とで久しぶりにサンタに手紙を書いたんだ。だからこれはきっとお母さんにだよ」


「お母さんに?」

 私は半信半疑で包みを開けた。


 中からは、欲しかったピンクゴールドの時計が出てきた。


 !


「やだー、お母さん泣いてるの?」

 思ってもいなかったプレゼントに、胸がいっぱいになった。


「ありがとう華」


「やだなー、サンタさんからだよ。あ、お父さんにも見せてあげた方がいいよ」

 意味ありげに華はにこりと笑った。


 しかたない、来年もツリーを出そう。







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アドベントカレンダー 過去からの贈り物 彩理 @Tukimiusagi

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