俺の彼女が死んだ日

月見里怜

第1話 俺の彼女

昨日、俺の彼女が死んだ。

自室で、ひっそりと首を吊って亡くなっていたらしい。

遺書は、見つかっていない。

俺には勿論のこと、彼女の親御さん、友達にも、死ぬ、死にたいなんて誰も聞いていなかった。

何故彼女が死んだのか、俺には到底わからなかった。

俺への不満なのか?

でも、俺はあいつを愛していた。誰よりも、何よりも。

浮気だってしていない。

じゃあ、俺の何に不満だったのか。

それとも、俺以外の何かに不満があったのか。

誰にもわからなかった。

彼女の友人たちは、

『何故死んでしまったの、あんなに明るかったのに』

と、口を揃えて言っていた。

ぴゅうと冷たい風が吹き、頬を掠めた。

嗚呼、なんで。

なんでお前は、死んでしまったんだ。

彼女の家に背を向けて、俺は一人で、とぼとぼと歩いた。

お前がいないと、悲しいよ。

只、それしか思い付かなかった。

俺は今日、俺にとって大切な人を亡くしてしまった。

もう二度と会えないと思う度、涙が溢れてくる。

もうあの笑顔を見ることも、喧嘩をすることも、なにも、できないのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る