占い師 死神今日子

渋谷かな

第1話 ホロスコープ1

渋谷の百貨店の片隅に人気の占い師の館があった。

占い師の名前は死神今日子。

彼女の占いはよくあると評判だった。


「先生、うちの猫がいなくなったんです。先生のお力で探してもらえませんか?」

「いいですよ。明日の朝までに猫ちゃんをお宅までお届けします。」

「え? いいんですか?」

「はい。もう私には猫ちゃんの居場所が見えていますから。アハッ!」

 彼女の名前は死神今日子。今日子の占いは100発100中で大人気の占い師だった。


「そんなもの分かる訳ないじゃん。」

 今日子は猫の居場所など知らなかった。

「今日子さん最低。詐欺師。ペテン師。どうせ探すのは私たちです。」

 そう、今日子は占うだけ。実際に猫を探すのは、今日子の信者たちであった。今日子のマネージャーの塚井魔子。

「今日のお題は。猫のキャトランを探すこと。見つけた人には100万円っと。さあ、探せ。金の亡者共!」

 今日子はSNSに匿名で猫探しを依頼する。

「みんな! よろしくね!」

「おお!」

 こうして、SNSを見た100万人位の人々が今日子の占いを成立するために猫を探すのだ。

「私が外すことはない!」

 これが今日子の占いが当たるカラクリであった。

「正にエンターテイメント! これ以上のエンターテイメントはないわ! キャッハッハー!」

 今日も今日子の笑い声が響き渡る。


「ニャア。」

 そして猫のキャトランは見つかり、依頼主の元に返された。

「ありがとうございました。これお礼の1000万円です。」

 そして猫を見つけた報酬に渡す100万円を引いても今日子の懐には900万円が残るのだった。

「どういたしまして。」

 今日子は愛想よくお金をもらって退却する。


「悪徳占い師。」

「なんか言った? あなたのお給料もここから出ているんだけど?」

「今日子先生の占いはよく当たりますねって褒めていたんですよ。」

「それならよろしい。キャッハッハー!」

 なぜか今日子と魔子は、これでも仲が良かった。


「あなた! あなたの後ろに悪霊が見えます!」

「ええー!? 先生!? 助けてください!?」

「助かりたければ、この壺を100万円で売ってあげましょう!」

「はい! ありがとうございます! 買わせてもらいます!」

 決して今日子は悪徳占い師ではない。人気占い師であれば、これぐらいは許されるのである。

「さあ、次の依頼は何かしら? キャハ!」

 見事な現代型占い師死神今日子の占いは今日もつづく。

 終わる。

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