今に満足した結果こうなりました。

@fukapin

第1話 駆けろコインランドリー

「うっそだろ…」


夜に家の洗濯機が突然動かなくなった。今日洗濯しなかったら着る服がない。

今の時間じゃお店に電話してもすぐに修理には来てもらえないだろうし……しゃあない。


俺は家にあった紙袋に洗濯物を詰め込んで近くのコインランドリーに向かった。

季節は12月、寒さが身体中を駆け巡るが、とりあえず洗濯と乾燥をしてしまおう。


中に入ると先客がいた。

ふんわりとパーマのかかった女子大生くらいの女の子だ。彼女は俺が入ってくると急いで袋の中の洗濯物を洗濯機の中に入れて袋の中をガサゴソしている。


見回すと他の洗濯機は全部動いていて、空いている洗濯機は彼女の右隣しか空いていない。

俺は彼女の後ろを遠慮気味にうつむきながら通りすぎ、自分の洗濯物を洗濯機に入れて、お金を入れて持参した洗剤を入れてボタンを押す。


終了時間が表示されて、まあこれくらいの時間なら家に帰るよりここで待ってたほうがいいかな。

そう思い、椅子に腰かけようと思ったとき、背後から突然声をかけられた。


「あの…すみません。もしよければ洗剤を貸してもらえないでしょうか?」


突然声をかけられて戸惑ってしまった、先ほどの女子大生の女の子だった。

洗剤を貸してほしい?


あれ?ここって洗剤の自動販売機なかったっけ?

俺は洗濯機横の洗剤の自動販売機を確認すると売り切れの表示が。


なるほどそう言うことか。

「あ、はい。どうぞ」


俺は彼女に洗剤を渡して

色々と悟った。

そう彼女が俺に話しかけたのには理由があったのだ。


洗剤が売り切れているから俺に声をかけてきた?いや、そうじゃない。


『実は私…最近、ここのコインランドリーで下着を盗まれたことがあって…お願い私の彼氏役になって洗濯物を守って』


こういう思いが隠れているに違いない。

初めから言ってくれたらいいのに、洗剤を貸してほしいだなんて。俺じゃなきゃそのメッセージ受け取れなかったぜ?


彼氏役を演じるのは全然問題ないよ、むしろ良ければそのまま彼氏になってもいいんだよ?もし、君の下着を盗んだ犯人を俺が捕まえたら付き合ってくれるかな?


彼女は俺にお礼を伝えながら洗剤を返してくれた。

そして、そのままコインランドリーを出ていった。

やっぱりな、こんなに分かりやすくアピールしてくるなんて。言葉として表現しないのは…照れてんだな。

洗濯物(下着)が犯人に盗まれないか見張っててほしいんだよね?

大丈夫だよ、俺が犯人を捕まえて正式に君の彼氏になるから。


しばらくスマホを構いながら時間を潰していたら洗濯、乾燥が終わる音が鳴った。


俺以外に誰もここには入ってこなかった。今日は犯人が現れなかったな。

まぁでもいいさ、君が帰ってくるまで俺は君の洗濯物を守っているから。

とりあえず、俺の洗濯物を片付けよう。


俺は自分の洗濯物を取り出そうと洗濯機を開ける。


ん?こんな服、俺は持ってないぞ?


洗濯物の中から出てきたものを確認すると

こ、これは…女性の下着…だ


何でこんなものが俺の洗濯物に紛れ込んでるんだ?


「キャー!!ど、泥棒!!」

彼女がタイミングよく、帰ってきた。


まさか!?

この洗濯機は彼女の洗濯機だったのか!?

俺の洗濯機は隣だった、俺は急いで彼女の洗濯物を洗濯機に戻したが時既に遅し。

「あなたが最近私の下着盗んだ犯人なんでしょ!」


「ち、違う。俺じゃない、たまたま開ける洗濯機を間違えただけで」

そう伝えても言い訳にしか聞こえない。その彼女の背後からアメフト選手並のガタイいい男性が。

「どうした?」

「たっくん。あの人が私の下着盗んでるの!!」


彼女がそう伝えると男性の顔が一気に赤くなり、表情険しくなり


「てめぇ!!何してやがんだ!!」


いかついガタイの男性が凄い勢いで突っ込んできた。

「お、俺は無実だ!」


そう言いながらそのまま上手く男性を交わして洗濯物を残したまま走ってコインランドリーを後にした。

男性の大声が響くが振り替えることなく、走り続けた。

周りの街並みは暖かい家族団らんの明かりや声が聞こえる。俺は一体何でこんなことになってしまったのか。

ただ、妄想をしただけなのに。


テーマソング

YOASOBI 夜に駆ける


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