幼馴染に浮気?された(告白前だから浮気じゃないけど)から絶縁してやる!そうしたら、いろんな幼馴染が俺の前に現れたんだが!?

鷹匠

第1章 初恋の幼馴染と絶縁した

第1話 幼馴染に浮気された(正確には浮気ではない)

 俺、西条翼さいじょう つばさには、子供の頃から大好きな初恋の幼馴染がいる。

 久遠楓くおん かえで。家も近所で、学校も高校までずっと一緒だ。

 俺は決めていた楓の16歳の誕生日に告白すると。決心させたのは、楓の15歳の誕生日に放った一言だった。


「私、16歳の誕生日に告白されて、そのまま16歳の誕生日を初彼氏とお祝いしたいなぁ~」

 俺と楓はお互いの誕生日に、一緒に祝いあうのが恒例である。

 つまりコレは俺へ「16歳の誕生日に告白しろよ?」との楓からのメッセージ……とそう思っていたのだ。


 ―――――――――――――――


「ねえ、お兄ちゃん……」

「な、何だ……そ、そら……」

 俺は自分の目に映る光景が信じらなかった。


 今日は、妹である西条天さいじょう そらに誘われて街へ繰り出していた。

 そして今日は、楓の16歳の誕生日。いつもなら楓と一緒に過ごす大切な日である。特に今年の楓の誕生日はになるはずだった……

 でも、俺は妹と街へ繰り出している。それは……今朝出かける前に来たメッセージアプリLIINEに来たメッセージが原因だった。


 楓:「今日はどうしても外せない家の用事ができたの」

 楓:「ゴメンね。今日の約束はナシにしてくれる?」

 楓:「(狸がゴメンなさいしてるスタンプ)」

 俺:「分かったよ。プレゼント用意してたんだけど、また今度にするな」

 俺の返信に対して《既読》がついた。でも以降、楓からメッセージが来ることはなかった。


 俺はこの1日に全てを賭けていた。

 でも急な用事じゃ仕方ない……楓もやむを得ない事情があるのだろうから。

 そして、しょうがないとはいえ落ち込む俺を、見かねた天が俺を外に誘ってくれたのだ。


「お兄ちゃん、楓ちゃんは残念だったね?

 でも、ほら?家に居ても仕方ないしさ、たまには妹とデートでもしよう?」

 俺の妹は天使か……そうだな、家に居ても落ち着かないしな。


「よしっ、行こうか。何処か行きたいところあるか?」

「あ、《西新》に行きたいな!今日西新で女子の間で話題になってるイベントがやってるの」

 俺のためにあえて、元気に接してくれる妹……マジ天使である。


 こうして、俺と天は近場の繁華街でもある、《西新》へと出かけた。

 そこで目撃したのだ……幼馴染の楓が、見知らぬ若い男と腕を組み、楽しそうにデートする姿を……


 ―――――――――――――――


 俺はどのように帰宅したのか、記憶にない。

 妹がいなければ、家に帰ることもできなかったかもしれない。


「お、お兄ちゃん、元気を出して、ね?

 告白する前で良かったじゃない。告白したら、『ゴメン。私、カレシいるの』とか言われるよりマシだって、ね?」

「う、うん。そうだな。告白してソレ言われたら、引きこもって一生家から出れなくなってしまうかもしれない。」

「(え!?そんなにダメージあるの?)……ま、まあ、ほら?天がついてるから、少しずつ忘れよ?」


 西条翼さいじょう つばさは考える。


(大好きな幼馴染からドタキャンされた挙句、さらに男(彼氏?)の惚気など聞かされたら、俺は……高校生活三年の全てを呪いながら生きることになる……)


 天は忘れろと言っている。

 ……脳裏にぎるのは、初恋の幼馴染が楽しそうな笑顔で、知らない男と腕を組み歩く姿。

 俺との約束を当日に嘘の理由でドタキャンした。

 ……俺は許せるのか?いや、許せない。

 でも、認めたら俺の初恋は……初恋は……


「……よし!もう楓とは幼馴染を解消して、絶縁しよう!」


「う、うん(お兄ちゃん、極端だなぁ……でも、お兄ちゃんを裏切ったあの女……楓は、絶対に許さない)」


「今日は天と遊びに行ったら、偶然が、デートしてるのを、たまたま目撃しただけだ!」


(少しだけ、少しだけ、俺には向き合う時間が欲しい)


 そして、俺と妹のやりとりの最中、来客を告げるインターフォンの音がリビングに響く。

「ん?誰か来たみたい。天が見てくるね」 

 インターフォンの呼び出しに応じて、天が玄関へ向かう。


「……こんな時間に誰だろうな?」


「アンタ!何しに来たのよっ!!!!」

 天の怒鳴り声が玄関から聞こえる。なんだ?


 俺は急いで玄関に向かうと、そこには……

 天に睨まれ、戸惑う表情の幼馴染の久遠楓くおん かえでが立っていた。



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 本作は、第1章全体で主人公の心情や行動の経緯が繋がるように構成されております。

 可能なら最低15話までは、お付き合い頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。

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