第628話 魔大陸での支配者の不在
「公爵様、魔王は章殿に討たれたとの事ですが、その後魔王の立ち位置はどうなったのかと思いまして。」
「それに関しては、今魔王の後釜は存在していないし、今もそうだが今後のめども立っていないらしい。」
「では今魔大陸を支配しているのはどういった・・・・つまり組織なのか個人なのか、またはそう言う仕組みが存在しているのでしょうか?」
ユハニの言わんとする事は何となくわかる。
魔王は魔大陸の、あれ?魔大陸での魔王の支配していた組織って結局何だったんだ?国なのか?
もし国であれば魔王と言うのは国家元首に相当する、若しくは魔王と言うぐらいなのだから王?
それが欠けたのだから国としての機能がどうなっているのか心配になる。
そんな事を話していたらいつの間にか早起がやってきていた。そう言えば何処に行っていたんだ?
一応大事な話中だから侵入は難しいんだけど?
「あんなのザルよお?」
早紀に言わせれば常山領の警備はザルらしい。
「早紀殿、今誰が魔大陸を実質動かしているのでしょうか?若しくは組織ですが。」
ユハニは早起がいつの間にかやってきた事に動じた様子来なく、早紀に質問をしています。
「それねえ、お父様と一緒にい、側近もお、四天王もお、お父様の主だった部下ってえ、みんな消滅しちゃったからねえ。今は誰もいないんじゃないかなあ?街ごとで好き勝手やってるんじゃないかなあ?」
「魔大陸でも街には領主が?」
「普通にいるよお?領主ってのは違うけどさあ。」
たぶん腕っぷしがものいう世界。一番強いのが街での頂点なのだろう。
「よく分かりませんね。税とかはどうしているのでしょう?農地での治水や道の維持管理は?」
「農地い?ダンジョンから食いもんは拾ってくっからさあ治水とか必要ないしい、道?魔法で空から行けばいいだけだしい。」
成程僕らの常識からは理解できない生活。
「成程そうですか。では領主と言ってもさほどする事もなさそうですな。」
「そうかなあ?たまに強い魔物とかやってくるからさあ、魔物退治に森へ狩りに行く事もあるしい、忙しいよお?」
魔大陸での生活は人間の営みとはかなり違うようです。
「では早紀殿、私が一番確認したかった事なのですが、魔大陸の住民、こちらでは魔族と呼んでいますが、その魔族がこちらの大陸に攻めてくる、という事はあり得ますか?」
魔王はこちらの大陸でも猛威を振るい、ロンドロッグを含め複数の国が滅んだからなあ。
「たぶんないよお?」
「それはどういった理由でしょうか?」
「だってえ、普通の魔族ってえ、この辺の魔素でわあ、満足できないしい、多分こっちで活動している魔族ってえ、変わり者だけだよお?私わあ、この領地だからいられるけどお、それ以外じゃあ住みたくないよお?」
「成程ある程度分かりました。」
分かったんだ。流石はユハニだ。
結局何が知りたかったんだ?
魔族が再びこちらに侵略してくるかどうか知りたかった?
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