第616話 オイヴィの選択、そして

「迷う事もなかろう。順番に行けばいい。」


僕は何を迷っていたのだろう。

単純な事。

一つずつ順番に行って確認すればいいだけの話。


オイヴィに言われて気が付く。

何で迷っていたんだろう。


僕はきっと平常心ではなかったのだろう。

オイヴィは日本の事には先入観がないからオイヴィはいつも通り。

オイヴィは小柄で細い。

そんなオイヴィが大きく見える。

これはきっと僕の心の小ささなんだろう。

「順平殿、手を。」

オイヴィの差し出される手を取る。

剣の達人のオイヴィ。

だけどその手は小さい。

だけどやはり大きく感じる。

それは彼女に触れる事による安心感。


僕は落ち着き、進むべき道を迷いなく進む。

何故かこれ、という勘が働く。

意味不明だがそう言うもんだろう?


そして向かった先は・・・・ズバリ正解。

まあ三つしかないから三分の一の確率なんだけど。


まあだからこそこれでもう僕は自信を取り戻す事ができたようだ。


「その顔の方が順平殿らしい。」

オイヴィの言葉がありがたい。

思わずオイヴィを抱きしめてしまう。

「あっ・・・・」


しばらくそのままいちゃつくと、後ろから怒られた。


「ねえ、別にどうでもいいんだけどお、私もいるんだよねえ。」

そうだった。

「そうだった。早起、こっちへおいで。」


「何かなあ?」


そして早起も抱きしめる。


「きゃっ!」


のほほんとした早起の普段からは想像できないその言葉。


「ちょっとお、二人同時とかあ、あんた節操ないわよお?」


どうやら早起はこういうのは2人で行いたいようだ。

「まあいいじゃないか。」


「よくないよお・・・・それよりどうするのお?」


例の施設を出ると目の前には何もないけれど、少し離れた場所にあれがそうなんだろうとわかる建物が見える。


「あれがそうなんだ?」


「そうよお?だけど何だか変ねえ?」


早起が何か違和感を感じる様子。

僕も注意してみるけれど・・・・うーん、なんだか魔素がおかしい?

はっきりとはわからないけれど、なんだか向こうが時々何かにさえぎられるような感じに見える。


「順平殿、魔素が濃すぎて何やら視界が変な状態だ。向かうならそれなりに対策をした方がよさそうだ。」

オイヴィも即座に異変に気が付いてくれる。

ただこの場所にはその影響はない感じ。但し魔素が濃いのは変わらずだけど。


「周囲の魔素を取り込んでくれる魔道具があるから、それを使って周囲の魔素を減少させよう。」


魔素を塊にしてくれ、保管してくれる優れもの。

まあ魔石?になるんだけどね。

早速魔道具を取りだし、起動させる。

魔道具の動力源は勿論魔石。

何せ周囲の魔素をエネルギーにしてしまうと、魔素が少なければ動作不能、濃すぎれば魔素の過剰に耐えきれずやはり動作が停止してしまう。


なので魔石を用い安定した動作をさせています。

ただあまり効率は良くない。

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