第578話 怪しいアイテムを調べる

盛大な溜息と共に、またですかと言った視線を一身に受け、肩身の狭い思いをしながらの食事。

何でこんな目に?

え?自業自得だって?

そう言われてもあれは不可抗力だと思うんです。外堀は既に埋められ退路も断たれ、あっという間に意識を刈り取られ、気が付けばもう全てが終わっていたという。


そして妻達との食事なのに、食事をしながら秘書さんは、

「本日のスケジュールでございます。」


そう言いつつ、その殆んどはどこぞの子爵の娘とごにょごにょとか、しかも事が終わり次第その父親、つまり子爵と今後の取引についての面談があったり・・・・何かがおかしい。おかしいというより娘を差し出し、その後面談?

僕はどう対応すれば?


「問題ありません。娘の方は公爵様ラブですし、父親の方も娘がこうして貴族の子としての務めを立派に果たせるともう領地総出での歓迎ぶりですから。」


秘書さんさらっととんでもない事言ってるんだけど?


「ちょっと待て!僕はその娘さんに会った事がそもそもあるの?」


「流石にそこまでは存じませんわ。以前何処かで助けたとか、何かありませんか?」


「全く心当たりがないな。そんな誰かを個人的に助けたなんてした覚えがないし、よくある盗賊から助けたなんて言うのもないからね。」


まあそうは言ってもこうした事はよくあ事なのでいちいち気にしても仕方がありません。

僕の仕事は多くの女性に僕の子種を差し出す事です。

そしてその女性は僕の子種で妊娠するためにここにやってきます。


人選をしっかりしてくれているそうですが、個人的にはいいのかそれで?となりますが、貴族の場合はこれは最大の親孝行なんだそうです。


何せ相手は(僕の事ですが)公爵の所へ娘を継がす事ができ、そうする事で領地(法衣貴族でなければ)は常山領と縁ができ、何かと取引が有利になったり、王家とのつながりを得るきっかけになるかもしれない等々。


流石に僕の妻にアーダとザーラがいるので自分の娘が妊娠したら常山公爵の跡取りを娘の子に!とは言わないと思いますが、領地の一部、まあ常山領は膨大すぎて未だに開発は半分も終わっていませんので、もしかしたら新たに開発をし発展した街(まだ存在自体ない)の領主として孫が!と思っていたり。


尤も僕が子作りをこんなにしなくてはいけないのも半ばこういうのがあるので、それを知っている貴族にとってはあながち夢ではないんです。


ただ時には調査が正しくなくて、問題が発生する事もあるようです。

ただこれに関しては僕の時間がなさすぎて、ユハニ達が対応してくれています。

まあその相手を探してきて僕に当てがったのはユハニ達なので、後始末は何も言わずにしてくれています。


ああそうそう、時間を見つけアイテムを調べないと。


結局すべてが終わったのは日も変わろうとしている時間。

結界を幾重にも張り巡らせ、万が一の場合は空間ごと消し去るつもりで場所の選定もそのつもりでやっています。


で、準備が整ったのでイザそのアイテムを取り出すも完全に沈黙。

鑑定しても

【壊れた魔道具。生命反応は無し。修復不可能。】


としか出ていません。


まあ何も起こらなければいいのですが、もし何かに反応して動き出すと困るので、暫く様子を見て仕舞いました。


これが何かを調べる必要がないのであれば死蔵しておこう。

尤もこれを絶対に調べないといけない!という事態になるというのも想像しにくいのですが。


ああ、今日も平和だなあ(と思ってみる)・・・・

「公爵様、追加で一人お願いしますわ。」


追加って・・・・


一応成人していない女性は却下しています。

そして妊娠が無理だろうと思われるタイミングはご法度。

これは秘書さん達が調べてくれるので気にしなくていいのですが。


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