第547話 徒弟制度の弊害
この世界の教育の一つとして、徒弟制度があるようです。
僕も話に聞いた事がある程度しか知りませんが、職人が弟子を育てる制度のようです。
どういう基準で弟子をとるのかまでは知りませんが。
まあ恐らくは縁故での採用と思われます。
若しくはどうやってか才能ある子どもを見つけ出し育てるのか。
この世界だと鑑定盤などがあれば自身のステータスを確認できるので、例えば鍛冶職人の場合、鍛冶スキルを持っている子供を見つけ、弟子にするのかな?
違ったら申し訳ないけれど、まあもし鍛冶職人が弟子を取ったら、弟子は基本住み込みで生活をするそうです。
そして鍛冶職人の家族が弟子に衣食住を提供し、必要な教育を施すそうです。
しかしこの必要な教育を施す、というのが実はネックになっていて、主に教えるのが職人に必要な知識になります。
どうやって鉄を溶かすのか、重さはどう量るのか等々。
ここに僕が思う教育内容がどこまで教えてもらえるのかが不明で、しかも教える人次第になるので結果徒弟制度で弟子入りした子供は、その職人の知識しか得られず、あまりにも偏り過ぎた知識しか身につかない・・・・
これでは何かあった時に対応できませんし、読み書き計算の基本を国民全員ができるようになるのは難しいと言わざるを得ません。
そして徒弟制度に運よくもぐりこめた子供はまだいいのですが、何も伝手がないと結局兵士になるか冒険者になるか、後は国民の大多数の農民のまま過ごすのか・・・・
特に農民と言われる人々はある程度の計算はできるようですが、読み書きが必ずしも生活に必要ではない事が多いらしく、識字率は悪いようです。
それに農民・・・・農家と言った方がいいのかな?実家が農家の場合、子もそのまま何も思わず農家で暮らすので、しかも常に忙しいので学ぶ機会もあまりないのかもしれません。
日本と違い外は魔物がやってきますし、化学肥料がないですし、農薬なんてもってのほか。
なのでほぼ全て人の手で管理をしないといけません。
農家は基本貧乏なので、高価な農耕器具を購入するのも難しいですし、相当重労働です。
そして、後は冒険者になるか鉱山等で働くか・・・・
冒険者の仕事はピンキリなので、上手く稼ぐ事が出来ればいいですが、常に死と隣り合わせなことも多い危険な仕事。
そして鉱山は重労働なうえに、健康にも悪い事も多く、危険と隣り合わせ。
どれをとっても色々と制度を見直さないといけませんが、国の制度を見直すなんてできませんから、まずは常山領だけでもなんとかしないと。
「ええと、教育の見直しと聞いていたのだが、私に何をしろと?」
久しぶりにエレケに会っています。
獣人である彼女は字が読めません。まあそうは言って文字が読めたほうがいいし、計算もできた方が良いよね。
「別に読めなくても生きていけるし?」
「そうなんだけど、学ぶ機会があったらどうなの?」
「えー私頭悪いし、獣人も学ぶなんてしないんじゃない?」
・・・・これは意外と根深いかも。
10年20年単位で領民・国民の意識を変えていかないと厳しいかな・・・・
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