第487話 急ピッチで進む難民キャンプの改善
翌日、朝の炊き出し。
この頃には今の順平にとって役に立つメンバーを選出してもらって、適材適所で活動してもらっている。
そうは言っても小さな子供がいる親も多く、その人数はさほど多くはない。
だが、子供は一か所に集め、保育所のような扱いで子供を見て、手の空いた親には針仕事や炊き出しの手伝いをしてもらう。
そして魔法の使えるメンバーの選出。
特に土魔法と水魔法。
土魔法は手っ取り早く住環境を作り出すのに必要。水魔法はとにかく生活に水は欠かせないので、その水を取り扱うのに役立ってもらう。
なにせその結果は自分たちの生活に直結するので、出し渋りや隠し事は一切しないよう、厳命している。
これに関しては此処で暫く暮らすうえでの必須項目として受け入れてもらっている。
順平自身も難民を救いたいとは思っているが、ただ助けるだけでは難民の為にはならない。
助けただけでは単なる施し。
それでは今後の自立が難しく、今は助けが必要だが、それもあと2日ほど。
っそれ以降は明確な対価が必要。
ぶっちゃけ対価は必要ないのだが、あえて相場以上の対価を設定した。
「いくらなんでも足元を見過ぎでは?」
秘書さんから指摘があるが、
「慈善事業ではありませんし、こちらは彼等が野垂れ死にしようが関係ありません。違いますか?」
「出過ぎた事を申しました。仰る通りです。」
何か察したのか素直に引き下がりましたね?
「まあだからと言って見捨てるのは何か違うと思ってね。だけどだから何でもやってあげるのでは後々彼らは僕に依存します。それではいけません。わかるよね?」
過去にこうした施しを行い、結果駄目になった事案が数多存在します。
その辺りはしっかり見極めないと。
持っているものは持っていないものに云々というような言い分もあるかもですが、それは違うとはっきりとした指針を示しておきます。
今僕の手にあるのは常山領の住民の為です。
もしこれを周囲に無関係の人に際限なく差し上げていたらどうなるか?
考えるまでもなく悲惨な結果になります。
最初は正義感から、若しくは慈悲の心で施しをするかもしれません。
しかしそうなると周辺から我も我もと押しかけてきます。
そのうち限界が来ますが、なんであっちにはしてこっちにはしてくれないんだ、となりやがていざこざになり、大きな争いになってしまいます。
そう言う可能性を周囲の人に説明します。
「さすがは公爵様。仰る通りです。」
まあ結局助けるんだけどね。
因みに土魔法であっという間に住環境を作っていくのは、何処でもできますが、これだけの数を作るのは環境を選びます。
魔素の濃い場所でないと無理だからです。
王都では数件が限度でしょう。
「じゃあ見本を見せますから、何回かやってみて下さい。」
順平はそう言った説明を土魔法を扱える難民達に説明をし、実際にやってもらいます。
最初は無理だとか、戸惑いがあったようですが、慣れると魔素のおかげかどんどん建物が出来上がります。
土地はあるので頑張ってもらいましょう・・・・
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