第463話 素材がいけなかったようです

 ベルト駆動の自転車はあっという間にできました。

 スキルってすごいね!としか言いようがないのですが。

 フレームやハンドル等の金属部品は手持ちに色々金属があるので、その中で錆に強く軽いのを用いました。

 後でヘルトラウダに【何を目指しているのですか!】とすごい剣幕で怒られてしまいましたが何故?

 そんな完成した自転車を先ず秘書さんが試乗します。

 最初は戸惑いうまく乗れませんでしたが、10分程で乗りこなしていきます。

 うわ、異世界人の順応性半端ない!

 もしかして秘書さん運動神経めっちゃいい?

 頭脳明晰、しかも見目麗しです。

 それに今度は恵まれた身体能力ですか?

 世の中理不尽です。差別です。

 何でこんな完璧超人が存在しているのでしょうか?

 あ、見た目だけならアーダがダントツですが、身体能力は壊滅的です。

 あ、でも秘書さんの見た目も10人いれば12人が振り返るほど完璧ですよ?

 え?何でえ10人なのに12人が振り向くのかって?

 何故でしょうね?よくわかりませんがこの世界でよく言われてるんですよ、この言い回し。

 名言とか格言とかあると思いますが、そうした類らしいのですが、未だにこの世界のそう言った考えには馴染めません。

 あ、因みに自転車のタイヤはチューブではありません。

 ゴムっぽい素材を用い、中を空洞にしています。

 いわゆるノーパンクタイヤですね。

「公爵様、これはまさかと思いますが、販売するつもりでしょうか?」

 秘書さんが一通り自転車を乗りこなせるようになって、僕にそのような事を確認してきます。

 後ろではヘルトラウダがジト目です。

「何か問題がある?そんなに値段も高くしないつもりなんだけど。」

 一度作ってしまえば複製できますからね。

 しかしヘルトラウダと秘書さんの表情が相変わらず微妙です。

「常山さん、何か問題があったのですかね?あの2人の表情がおかしいですよ?」

 内元君は2人の違和感に気が付いたようです。

「そのようですね。何が問題があったのでしょうか。」

 僕と内元君は完成した試作品の自転車とにらめっこしますが、何が問題なのか分かりません。

 あ、自転車にリヤカーくっつけたら自走の運搬車が出来上がる!

 ハンドル操作は必要ですが、バランスを保つ必要がないので、背が足りでば誰でも走らせる事が出来ます。

 自転車って後ろに荷台付きって確かあったはず。

 二輪車じゃなく三輪自転車ですね。

 この世界ではこれを普及させた方がいい?

 無理な曲がり方をしない限り転倒もしませんし。

 だけどやはり2人はジト目です。

「あ、何か問題が?」

 するとヘルトラウダが凄い剣幕で訴えてきます。

「これ庶民の足にするつもりでしょ?何でこんな高価な、いえ高価とか生ぬるい!なぜこのような希少すぎる素材をふんだんに使うのですか?信じられません?」

 あれ?何か問題が、と思ったら、え?もしかして金属?

 本当はアルミがいいのですが、色んな意味でアルミは難しいです。

 で、僕のカバンの中に入っている素材を吟味して、選んだのがこの自転車用としてフレームで使ってるのですが。

 別の素材でハンドルは作っています。

 こちらはどうなのかな?

 するとヘルトラウダが、

「どこの世界に庶民の足にオリハルコンを使うのですか!」

 だって鉄だとかなり重くなるんです。

 それがオリハルコンを含めた素材を混ぜるとあら不思議!

 ああ、忘れていましたが何故かマグネシウムが沢山採掘できるんです。

 ただこの素材、軽いのはいいのですが、強度が・・・・

 そこにミスリルやオリハルコン、アダマンタイン、ヒヒイロカネ等々を少量混ぜるだけでチタン並みの金属になるんです。

 軽くて硬い。

 マグネシウムは銅より軟らかいので、自転車には不向き。

 ただ軽いんです。

 そしてこの世界には大量に存在してるんです。

 そして色々混ぜた結果、オリハルコンを混ぜると相当硬くなります。

 しかし、ヘルトラウダにダメ出しを食らいました。

 秘書さんのジト目も凄いです。

 なまじ2人の顔が整っているので、そのジト目は怖いです。

「もっと庶民的な素材で作って下さい。そしてこの乗り物は国で管理するのがいいでしょう。」

 ええ?何で没収?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る