第464話 その後自転車はあっという間に広まりました

 素材を駄目だしされたので、もっと庶民的な素材で自転車を作る事になりました。

 炭素素材とか軽くなりそうですが、この世界で再現は厳しそうです。

 なので重くてもいいのでやはり鉄を用いる事になりそうです。

 そして日常の足から荷物の運搬用まで多様な用途に応えるべく、後は扱いやすさから二輪ではなく三輪を用いる事にしました。

「転倒しやすそうで危険と感じました。また慣れるのに時間がかかるのもいけませんね。」


 秘書さんが自転車に乗った感想をいくつか伝えてくれましたが、短時間で乗りこなせている秘書さんらしからぬ発言。

「ええ?簡単に乗りこなせていたよね?」

「それは私個人の能力があったればこそでしょう。ですが庶民にこの乗り物を乗りこなすのは、なかなかに難しいでしょう。転倒の可能性もありますし、他の何かと衝突した場合も考えませんと。」

 交通ルール、この世界ではどうなのかな?

「徒歩?乗り物がやってきたら避けませんと。」

 徒歩は立場が弱いようです。

「え?こちらに向かってきた場合?乗り物の進路上に居た事がそもそも問題ですね。」

 歩行者の立場は日本と違い弱いようです。

 であれば歩行帯を別に設ければ問題ない?

 柵とかガードレールで仕切るとか?

「魔物の前では無力ですよ。」

 どうやら柵を設けても、魔物がやってくればあっという間に破壊されるようです。

 まあ今すぐ変化させる必要はありませんが、色々と違いがあり上手く付き合うしかなさそうです。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 数日後、数台の自転車が完成しました。

 多種多様な用途に応えるべく、16インチから26インチまで(たぶん)2インチ刻みで大きさを変えています。

 子供から大人まで。

 そうそう、この世界で自転車を作るのに苦労したのは【ねじ】です。

 一品ものならスキルのごり押しでできますが、大量生産となると工作機械が必須です(たぶん)。

 ですが僕にはそこまでの知識がないので、この世界の職人に丸投げです。

 ですが職人は渡された製品を再現すべく、日々精進している様子。

 最初は絶望していましたが、やはり職人。

 一品もののねじ切りは何度もやった事があるようで、ノウハウはあるようです。

 何に使っていたのかは謎ですが。


 そして1ヶ月後、どうやら大量生産のめどが立ったようで、しかも色々なサイズのねじが切れるようで、これでペダルの逆ねじや、ハンドルのねじ等もできると言われ、流石職人、僅か1ヶ月でできるとは恐ろしい才能とセンス、そして情熱です。


 その努力が実ったのか、各部品もあらゆる職人が再現を行い、大量生産の体制が整ったようです。


 そして更に半年程が過ぎ、常山領を始め王都もこの自転車が移動手段、そして流通に革命をもたらす事になるのですが、この時は此処まで大事になるとは思っていませんでした。

 あ、やはり長距離は現状の方法が適しているようで、こちらは荷台等の改良が要請されてます。

 え?何でこれも僕がしないといけないの?

 知らずにこの世界へ新たな波を起こしてしまった僕。


 こうした出来事は今後も続き・・・・

 そして月日は流れ、気が付けば召喚から10年が経っていました。


 ●   お知らせ    ●


 沢山の方に読んでいただきありがとうございます。


 次回より新章に突入します。


 準備等がありますので、

 申し訳ありませんが次回の更新は少し日をあけ、24(土)とさせて頂きます。

 ここまで毎日更新を頑張ってまいりましたが、次章の構想をもう少し煮詰めたいと思います。

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