前のエピソード――第371話　ヘイマンス子爵領でのモデル販売

どうやらこのヘイマンス子爵領での商品の販売、これをきっかけに成功すれば他の町・街にも水平展開される可能性があるようです。

何せ種類が少ないとはいえ、女性用の下着、ぶっちゃけブラジャーはこちらの物とは機能性が全然違い、需要がかなりあるようです。

それにショーツ。

今までは何と言ったらいいのか、僕達から見れば変な形のばかりでどうなってるの？と思わずにはいられませんでしたが、侍女さんをはじめ、多くのこの世界の女性には驚きをもって向かい入れられ、今や無くてはならないようです。

ただ問題が。

特にショーツは素材が伸びないといけないので、そう言った布を用意しないといけません。

綿みたいな素材はあるようですが、問題はその織り方。

僕は流石に布の織り方の知識は皆無で、昔ですと糸を紡ぎ機織り機で布にしていたと思うのですが、どういった織り方をしたらいいか皆目見当が付きません。

今は王都や常山領でアイテムを複製すればいいのですが、他の町ではこうはいきません。

恐らく魔力がここほど充満しておらず、満足に複製できないと聞いています。

「それはヘルトラウダが頑張って何とかしてくれよう。」

アーダはヘルトラウダに丸投げにしてしまうようです。

「任せて下さい！そうは言っても私も布を一から作るなんてできませんから、その道の職人に当たって確認しますよ！」

結構面倒だと思うのですが、ヘルトラウダ本人は凄く乗り気なので、まあ任せましょう。

そして意外にもオイヴィが興味を示したようで、

「私も手伝おう。祖国の職人に当たってみようではないか。それにこの下着、実に素晴らしい！」

まあぶっちゃけ素材は今あるのを複製し、バラして再縫製すれば何とかなりますから、サイズの違いはある程度対応できるのですが、これも出回る数は少ないので、今後大量に出まわそうとすればこれでは話になりません。

「オイヴィもいいのかい？」

「ああ、祖国の事も気になるからな。聖騎士団が壊滅したうえに、首都も壊滅したがそれはあくまで指導部、上層部の話であって、民衆が全滅した訳ではないからな。」

なんだっけ？何とか皇国？いや帝国だっけ？

神聖帝国ロンドロッグだっけ？

まあもう国が滅んでしまっているようで、今更思い出しても仕方ないのですけどね。

ですが未だオイヴィの祖国から僕の領地には大量の人がやってきているので、他人事ではないのですが。

そしてヘルトラウダはオイヴィに色々話をしているようです。

「このショーツはこうするとこんなに伸びますが、このような布はわが国ではあまり見かけません。伸びても肌触りが全く違い、肌に直接・しかも女性にとって一番繊細な部分に直接触れますから、肌触りも重要なのです。これらを解決する布地を手に入れられ、しかも一から作る事ができれば今後多くの女性の悩みを解決できるでしょうし、このブラジャーもそうです。胸の悩みは多くの女性が常に抱えています。」

「責任重大だな！」

僕はしばらく関わらないほうがいいと思い、そっと離れました。