第351話 ドロップアイテムの回収と、敵の出現の謎

「順平!気が付かなかった!何これ?」

柚奈が混乱しています。それに瑞華もあわてています。

何故ならこのバジリスク、2人のすぐ近くに倒れたからで、目の前に急に現れた魔物の死体に、2人は驚いているからです。結局湧いたのはバジリスクでした。

ここはバジリスクだけが出現するのかどうかはまだ分かりませんが。


「順平さん!気配無かったわよ?」

僕は周囲を見渡しつつ、その間にバジリスクはドロップアイテムに変わってしまったので、ええとドロップアイテムに変わったって言い方が変だけど、ドロップアイテムを落とし魔物は姿を消しました。


柚奈がアイテムを回収してくれているので、その間にオイヴィと相談をします。

「オイヴィ、君ですら気が付かなかったんだよね?」

「そのすまぬ。全く気が付かなかった!」

「いや、責めてるんじゃないんだよ。オイヴィですら気が付かなかったのなら、僕以外に気づけなかった原因、何だろうと思ってね。」

「他の女子はどうなのだ?才村殿や森江殿は?」

2人に目をやると、2人とも首を横に振るばかり。


では僕だけが気が付いたのかな?

他の冒険者も皆一様に驚いていたし、この違いは何か見極めないと、下手にこの場を脱出できないですし。

それに、魔物の出現る位置、時間、条件もわかっていません。

一番の問題は魔物の出現位置。

先ほどの場所で出現位置が固定なら、素早くこの場から離れておかないといけませんが、もしバラバラならもっと深刻。

其れとも下手に移動しないでここでまた仕留めればいい?


今僕は他の冒険者、妻達と僕の違いを考えます。

オイヴィも考えてくれています。


まず性別は、冒険者は男が中心なので性別での違いはないです。

次に場所。

僕がいる場所と、他の冒険者がいる場所。

ただ僕の隣にはオイヴィがいたわけで、本当にすぐ隣だったので、何か床に仕掛けが?とも思えましたが、そんなピンポイントに魔物の出現を見分ける事の出来る床を僕が踏んでいた、というのはあまり考えられず、もしそのような仕掛けがあるなら、他の冒険者も気が付くのでは?オイヴィも全く気が付いていなかったようですし、僕のスキルでも引っかかってきません。


ここで次に考えられるのは、僕と他の人のレベルの差。

スキルレベルは僕達だけにあるらしいですが、単純なランク付けのレベル、これはこの異世界の人にも存在し、ギルドカード?冒険者カードだっけ?これにそれぞれの名前やステータス、レベルなどが表示されていて、ある一定以上のレベルでないと先ほどの魔物の気配、姿を確認できな、というもの。


僕はいまだスキルを無意識に使っている時がよくあるので、そのせい?という可能性があります。

特に今回怪しいのが”看破”

レベルはマックスの10になっています。


いくらスキルを他の人に渡す事が出来ても、その時はレベル1です。

なので友郁や泉も看破のレベルは高くないです。

そもそも僕達って看破のスキルを使う機会がさほどないので、レベルが上がっていないはずなんです。

ただ僕は、並行世界での行動した事がレベルに反映してしまっているようなので、殆どのスキルはレベル10なんです。


「僕の看破のスキルで発見できたんじゃないかと思っているんだ。」

僕は妻全員に僕が考えた事を伝えます。


「ではもしそれが事実でしたら、その魔物は気配を消し、姿をくらまし、つまり隠蔽や認識阻害のスキルを使用しているのでしょうか?」

泉がそう考えたみたいですが、看破でそれを見破ったのかな?

確かに隠蔽や認識阻害はかなり有効。何せ以前僕は、風呂場で女性陣からの脱出をこのスキルを使って達成していますから。


「もしそれが本当なら、今すぐ全員この場から移動したほうがいいのじゃないかしら?」

「うん、友郁の言う通りかもしれない。あ、柚奈に瑞華、そろそろ落ち着いたかな?」

慌てていた2人も落ち着いたみたいで、頷いていますね。

「急ぎこの場から移動しよう。僕が最後尾で後ろから見ておくよ。全員固まって移動しようか。」


次の魔物の出現がどうなるか見極めたいところだけど、そうもいかないしね。

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