第352話 冒険者の脱出

まずは石化してしまっていた冒険者の面々がこのフロアを後にすべく、出発します。


そうは言ってもさほど階段から離れているわけではなく、何事もなく全員が階段へと戻る事が出来ました。。

そして多分安全な場所へ戻れたので、少し休憩です。



「その、すまない。色々迷惑をかけてしまったようだ。君らは見た事のない顔だが、しかも殆んどが女性か。詮索するつもりはないが、君らも常山公爵の家臣狙いなのかい?」


僕達は全員バレないように違う姿に見えているはずで、だから今声をかけてくれている冒険者も、恐らく僕が公爵と気が付いていません。

気が付かなくても、黒い髪だとバレるかも、もしくは関係者と思われるので、ダンジョンに入る前に確認しているんです。


今の僕達は、何処から見ても現地の人。

そして僕がどう答えていいか悩んでいたところ、別の人からの発言で、それどころではなくなってしまいます。


「あ、あの、助けてもらってなんですが、僕らと違って先行しているパーティがいくつかいるんです。どうしましょう?」


ちょっととぼけた感じの青年ですが、どうしましょうってどうしたら?


「先行しているんだよね確か。先行しているパーティとは連絡が付くのかな?」

「いえ、無理です。定期的に連絡をしないといけませんが、一週間に一度ですから。」


確かユハニがそんな決め事をしてたっけ。

「だけど、もっと頻度があってもよかったんだよね?」

「ええ、だからこそ僕達は一度戻ろうとしていたんです。恐らくこういった事も含めた選定だと思っているので、無理はしないでおこうと。」


確かにそうなんだろうけど、運がなかったね?

いや、この場合は運がよかったというべきなのかな?

「まあここは新規のダンジョンだよね?その調査なんだから、もっと頻繁に連絡を取ったほうがよかったのかもね。」

僕はそう言ってみますが、どうやら色々意見があったらしく、

「それはそうなのですが、ここまで一切の魔物が出現しなかったんですよ。油断した、と言われればそれまでですが、まさか姿、気配の分からない魔物が出現するとか思わないわけで。さらに言えば、戻ろうとしているところを襲われたのですよ。何でしょうね、このダンジョン。」


「それは誰かが考えてくれると思うので、皆さん一度報告をしに行って下さい。僕は気になるので、先行しているというパーティの所へ向かってみます。」

「大丈夫ですか?」

「ええ。それより、石化したら失格とか、そんな事はないと思うので、報告が終わればまた皆さん来るのでしょう?」

「え?そりゃあ失格にならないのならまた来たいけれど、普通に考えたら失格だろう?」

僕は考えます。

僕の家臣にとの選考基準は、腕っぷしの強い人という訳ではありません、たぶん。

色々考え、見極めたうえでの選考基準だと思うんです。自分の家臣なのにユハニに任せてますけれど。

「まあ選考期間はまだあるので、皆さん諦めずまた来た方がいいですよ。」


納得したのかしないのか、その後僕達以外は皆引き上げていきました。

「いいのか?あんな事を言って。」


オイヴィは僕の対応に疑問を感じたのか、そう聞いてきます。

「いいんだよ。腕っぷしだけの採用じゃないからさ。」

さて、うまく合流できればいいのですが。

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