第324話 食卓でのコミュニケーション
麹って色々な料理に使われているんだよね確か。
米麹とか塩麹?
僕はそう言った知識は殆どありません。
そしてアーダやザーラには、そう言った知識があるかどうか怪しい限りです。
あっても料理はした事がないので、使い方は知らないでしょう。
ヘルトラウダに聞いてみると、
「”こうじ”ですか?わかりませんが、料理がおいしくなるものでしたら、いくつか存在していますわ。ただ私は凝った料理はしないので、塩や砂糖といった基本的な調味料しか使いませんので詳しくは知りません。王都よりやってきた料理人に確認してみては?」
との事でしたが、実際確認してみると、
「公爵様、王族が口にされる料理以外にそのような何かを入れる、といった事はございませんよ?」
じゃあ普通はそういった、おいしくなる何かがない?
だけどここで思わぬ回答が。オイヴィさんは自身で結構凝った料理をしているようです。
「”こうじ”というのが何かは知らぬ。だが、わが国ではいくつか一工夫すると味が良くなる調味料は確かにある。それが常山殿の言う”こうじ”かどうかはわからぬが。まあそれは、機会があれば現物をもってこよう。しかしどうやら常山殿は、完全に魔王の支配から逃れる事が出来たようだ。」
よくわかりませんが、そうなのでしょうか?
「今まで料理の事は二の次だったであろう?」
「あ、そういえばそうだね。でもそれが魔王の支配から逃れたのと関係があるの?」
「ああ、おおいにある。」
うわ!言い切った。
で、ここで泉が何か察したのか、オイヴィさんに尋ねる。
「オイヴィさん、私たちはどうですか?」
「無論全員魔王の支配から逃れている。もう魔王の影響はないはずだ。」
「それはよかった。」
「まあ仕方がない。魔王は武力だけでも強い。しかし魔王の真の恐ろしさが武力ではない。あれほど強いというのに、万が一を考え常にいくつかの対策を予め考えているようだ。それに、側近に恵まれているようだ。」
「あ、そういえばあの時も何やら従っている奴に何か命令してたっけ。」
僕は思い出します。
そもそもあの時、もっと魔王は戦えたんじゃない?
それがあっさりと引いたので、意外に思っていましたが。
そして今僕は、この会話の中で気が付いた事があります。
この世界にやってきて、最初の頃は料理がいまいちというか美味しくない、そう思っていたのに、魔王の襲撃があってから、料理の味の事は何も考えていませんでした。
考えていたのかもしれませんが、そういった記憶がありません。
おかしい。これも魔王の影響でしょうか?
「魔王って、食には拘らないのかな?」
僕は誰ともなく声に出します。
ヘルトラウダが最初に答えます。
「そう言った話は聞いたことがないですね。尤も魔王と対面して生きて我々と接触した人物がいなかったので、実際どうなのか分かりませんが。」
そういえば並行世界でも、魔王とは戦いましたが、会話は殆どしたことがないですね。どうなんだろう?
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