第291話 記憶障害

「順平さんはその、暫く昏睡状態だったのですが、恐らく一時的な記憶障害になっていると考えられる状態です。」


記憶障害?

交通事故にでもあって頭を打ったのかな?


歩く事ができるようになってさらに一ヶ月、僕の体力は目に見えて回復していき、今では軽いジョギングぐらいが出来るまで回復してきました。


そんな中、夜寝る時僕は何故か恐ろしく不安になる事があって、今では誰かが一緒に寝てくれています。

「こういう時は、誰かに抱きしめてもらうのが一番ですよ?」


そう言ってそっと、優しく抱いてくれる女性。何だか安心して僕は寝てしまいます。


そんな日が数日か続き、この日は何だか頭が痛く、この日は才村さんと言う女性が添い寝してくれたのですが、

ベッドで眠る彼女をつい来てしまいます。

じっと見ていると何だかこう、無性に抱きしめてしまいたくなってしまい、その気持ちを抑えようとしました。

最初は我慢していましたが、だんだん頭が痛くなるにつれ、考える事が出来なくなってしまい、気が付けば、

「ゆ・・・友郁!僕の友郁!!」


無意識の叫びを。


そしてあろう事か、善意で添い寝している彼女に僕は襲い掛かってしまいました。


驚いて目を覚ます彼女ですが、

あ・・・しまった・・・・・僕は何て事を!女性を襲ってしまうなんて、僕は犯罪者だ!

無抵抗な女性に無理やり事をしようなんて。


だけど何か変です。

「順平さん、もう一度私の名前を呼んで?」

・・・・僕は彼女の眼を見ます。

そして才村さんも僕を見ます。


そしてまた無意識に大声を出してしまいます。

「友郁!そうだ友郁!僕の友郁!」


「順平さん!」


今度は友郁が抱いてくれます。

「ああ、友郁、友郁!!!!」


・・・・

・・・

・・


気が付けば僕は寝ていました。

隣を見ると・・・・女性が一人、僕にくっついて寝ていますが、僕は何だか急に不安になり、起き上がると、僕は裸でした。

そしてその女性も裸です。


え?何?どうして?

あ、気が付いたようです。


「順平さん、おはようございます。」

「お・・・・おはよう・・・・その・・・・僕・・・・とんでもない事をしてしまった。ごめん。」

僕はベッドから飛び起き、その場を後にしてしまいました。


何がどうなったかわからないまま、また夜に。


そしてこの日は森江さんと言う女性が添い寝を。

なんだか落ち着く女性です。

僕は思い切って相談をしてみます。


「森江さん・・・・僕、今日とんでもなく酷い事をしてしまったんです。」

「ええ、知っていますわ。才村さんの事でしょう?」

「ご存じでしたか・・・・僕、どうやら無意識に彼女を襲ってしまったようなのです。善意で添い寝までしてくれた彼女に、取り返しのつかない事をしてしまいました。僕は何て愚かな事をしてしまったのでしょう」


そんな彼女は僕を優しく抱きしめてくれます。

「むしろ喜んでいましたよ?とんでもなく酷い事と言うのは、あの後才村さんを放置した事ですわ。」

??どういう事?

「僕、たぶんしちゃったんです。本人に確認せず、無理やり犯してしまったんです。」

「そんな事はありませんわ。むしろ彼女はうれしくて仕方がなかったですわよ?」


何でそんなウソを言うのだろう。


だけど・・・・また頭が・・・・これはかなりきつい・・・・?

「泉・・・・頭が痛い・・・・」

「順平さん?頭が痛いのね?どう痛いのかしら?」


痛みでボーっとしてしまいます。考える事ができなくなっていくような、そんな感覚。

「泉・・・・泉!僕は・・・・泉が・・・・」

僕はその、目の前の彼女に覆いかぶさってしまい、また昨晩のような事を。



気が付けば朝になっていました。

そして・・・・やはり裸の女性が横で寝ています。

え?2日連続で?

そう思っていると、いつの間にかその女性が僕を抱きしめています。

「抱いてくれてありがとう・・・・私、泉と再び呼んでもらい、抱いてもらえてどれだけ嬉しかったか。愛してるわ。」


ええと・・・・無理やりじゃない?


それに・・・・こうもやもやした何かが、目の前にある、そんな気がするんです。

そう、伸ばせば手の届きそうなところに・・・・

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