第258話 地下空洞
フェンリルが住んでいるのは、この入り口から入り進んでいくと、緩やかな下りになっていて、その奥にあるようです。
そして僕らが修行していたのは、更に奥・・・・ってあれ?行き止まり?
住んでいた建物からここまでは徒歩で行き来していたから、道を間違うはずもないし、確かにあの入り口で合っていたはず。
分かれ道もなかったはずなんですけどね。
「順平さん、行き止まり・・・・ですね?」
友郁もおかしいと感じて僕にそうささやいているんだけど。
「おかしい・・・・この先にあるはずなんだけど、先がないね。」
僕はその、本来ないはずの、進路をふさぐ壁を見ているのだけど、
「順平さん、風を感じますわ。この・・・・壁でしょうか?収納できませんか?」
泉の指摘で、なるほど確かに風を感じる場所があります。
僕は収納かばんを手にし、この壁?に近づけ、カバンの口にくっつけます。
すると・・・・壁?が消えて、その先が見えました。
「流石だな泉、よく風が吹いているのと、収納するって気が付いたね?」
「そ・・・・そうかしら?たまたま身体に風を感じただけですし、もしこれがただ単に進路を防いでいるだけなら、収納かばんに入るのでは?そう考えただけですから。」
こういう時、泉の知性をありがたく感じます。
彼女は普段、何事も落ち着いて周りを見てくれていますし。
僕達の進路をふさぐ物が無くなったので、先に進みます。
が、ここにきて、またもや立ち止まる事に。
何せ一本道のはずの先が、3つに分かれていたからです。
「え?なんで3つ?」
僕は思わずそう呟いてしまいました。
ただ、ここで合っているはずなので、何か見落としがあった?それとも何か変化が?
「みんなどうする?間違いなく真ん中に進めば僕らが修行していた場所のはずなんだけど。」
柚奈や瑞華も見た事のない分岐を、その奥をそっと覗いてます。
僕も何かと思いながら奥を見ますが、すぐに曲がり角になっているようで、奥がどうなっているかわかりません。
友郁も泉も、興味深そうに眺めていますが、何があるのかわからないので、奥には進みません。
「取り合えず、修行していた場所へ向かいたいんだけど、どう思う?」
そう言うと、4人ともうんと頷いてくれました。
ですが、何があるのかわかりませんから、今からは警戒する事にします。
念のため、楯を取り出し、ショートソードを手にします。
それと一応みんなに万が一の場合に備え、各種ポーションが手持ちにあるか確認してもらいます。
問題ないようなので進み始めてみます。
結果、その後は何もなかったかのように到着しました。
約5年、毎日のように見ていた場所。
兎に角広い、だだっ広いとでも言いますか。
ここは地下なのですが、天井も高く、何故か明るいんです。
まあ折角なので、少し落ち着く場所を設置しておきます。
ついたてを取り出し、囲いを作って、その中にはイスとテーブルを用意。
一寸考えようと思いながら椅子に座ります。
4人も追従し、座ります。
この変化は何でしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます