第219話 魔石の確保

「あ!常山様あぁ♡」


僕達がギルドへ入ると、あの受付のお姉さん、ヘルトラウダさんが

カウンターにいたのにもかかわらず、ふと気を許したその間に、目の前にいました。

「どうもヘルトラ・むぐ!」

気が付けばヘルトラウダさんは僕の首に手を回し、顔を近づけ、口づけをしてきました。

あっけにとられた僕は、なすがままです。え?何これ?


暫くして我に返った僕は、無理やり引きはがします。


「ようこそギルドへ、本日はお持ち帰りでしょうか?」


何を持ち帰るんだか。突っ込んだら負けそうな気がしたので無視をします。


「今鑑定しているドロップアイテムのうち、魔石を返してほしいんです。」

「あら魔石ですか?何か魔道具のエネルギーが必要になりましたか?」

「ええと、新たに魔道具?でいいのかわからないけれど、そのエネルギーに魔石を使えばいいんじゃないかと思って、取りに来たんです。」

「そうですか。魔石のお持ち帰りでしたのね?私も一緒に持ち帰りませんか?」

「今は魔道具の作成に集中したいので、またの機会という事で。」

社交的な断りだったのですが、ヘルトラウダさんは、何をどう受け止めたのかわかりませんが、


「わかりました!次の機会にお持ち帰りして下さるのですね!皆さん!次に常山様が来られた時、私はお持ち帰りして頂く事と相成りましたわ!」


え?ちょっと何でそんな言を大声で?

「おめでとー!」

「ついにヘルトラウダが春をみつけたのね!」

「オークの睾丸持ってけば?」


うん?最後のオークの睾丸って何?

そう思っていたのが顔に出ていたのか、侍女さんが説明をしてくれます。

「オークの睾丸からつくられた薬は、妊娠の確率を高めてくれます。オークキングと言うオークの最上位を仕留め、睾丸を手に入れる事が出来れば、子作りに励めば100%妊娠する薬の元です。」


「え?100%?無いでしょそんな夢のような薬。」


だけど実在しているらしいです。この世界では。

オークと言えば、種族関係なくメスを犯せば高確率で妊娠するという女の敵。

その睾丸からつくられた薬が、妊娠率を上げるのだとか。

え?まさか産まれる子はオークの子じゃないよね?


「それはあり得ませんのでご安心下さい。」


いや、何を安心するんだか。


「では少々お待ち下さい。といいますか、ご一緒しますか?」

ヘルトラウダさんは一人で取りに行こうとして、僕にそう聞いてきます。

「そうですね、どうせ待つだけですから、一緒に行きます。」


「はぐれるといけませんからね、手を。」


いやこの距離で、この建物内ではぐれるとかないですから。


僕は強引に腕を組まれ、解体場へ連れられます。手を握るんじゃなかったのですか?

で、何処に向かうかといえば、僕の出したアイテムの数が多すぎて、鑑定は解体場で行っているんです。

ですので今解体場に向かっています。

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