第187話 未来視 その4

僕と友郁が戻ったのを見て、皆集まってきます。


「一体どうしたんだい?メールローでは、領主とその息子が順番は逆だけど、友郁を襲ってね。不幸中の幸いと言うべきか、貞操機能が付いてたから、犯されなかったけど、フェンリルの息子が殺されたんだ。」


皆固まります。


「え?だってあの魔獣、あの魔獣の子供なんでしょ?普通の人ではかすり傷さえ与えられなさそうだったわ。その息子が弱いわけないでしょうに、どうやって殺したのです?」


森江さんがそう言うけれど、アーダさんが割り込んできます。


「ちょっと!話は終わってないわよ!すました顔して、常山順平とよろしくやりやがって!抜け駆けメギツネめ!」


あのアーダさんとは思えない言動。どうしたの?

そして、ザーラ姫までが顔に似合わぬ口調でしゃべります。


「ああ!居なくなったと思ったら!常山順平を独占して!王族である私たちを差し置いて!」


友郁に矛先が向いてしまってます。


「酷いわ順平さん!才村さんは仕方ないとして、森江さんともしちゃったんでしょ?どうして?どうして私達は置いてけぼりなのよ!」


おかしいです、矢坂橋さんがその様な事を言うとは思えないんだけど、いったいどうしたのこの変わりよう。

さらに古手さんまでもが、


「2人とも卑怯だ!常山順平を独占しながら!私はまだなんだ!」


何がどうしたのですか?


僕は周りを見ます。


何か空気の流れ?質?何か違和感があります。なんだろうこの違和感は。


「みんなちょっと待って!みんなそんな事を言う人じゃなかったはず!それに、ここは魔王と戦った場所だよね?何か違和感があるんだけど、みんなは違和感を感じない?」


僕は可能な限り周りを見るけれど、おかしなところはないように見えます。


そしてふと、床を見てみますが、一瞬だけど、足元に違和感を覚えます。


この部屋、何かおかしい気がします。そして、この部屋から何かが大量に出ているようです。目に見えないのですが、何かを感じます。


「みんな!一度この部屋を出よう!僕の見立てでは、この部屋は何かおかしい気がするんです!よくわからない何かがこの床と思うけれど、発生している。」


「ええ?順平さん、それって何でしょう?」


「きい!あんたずっと常山さんって言ってたのに!悔しい!」


古手さんが切れました。美女の切れた顔は恐ろしいです。


古手さんはそんな事を言う女性ではなかったはず。そりゃあ口調はきつめですが、決してこんなことを口走る女性ではないはず。


そしてアーダさんが僕に詰め寄ってきます。


「そんな事はどうでもいい!あのメギツネを抱いたのなら、私も抱くんだ!王族の命令だ!」


いや待って今はそれどころではないのですが?


僕は何故かアーダさんに押し倒されてしまいます。え?避けられなかった。


その時僕の手が床に触れて、


バチッ!!


僕が床に触れた途端、何やらすさまじいエネルギーが放出します。


「きゃあ!」


アーダさんと僕は見事に吹き飛びます。


ここで僕の未来視が終わってしまいました。


うう。


僕は、あれ?目の前が真っ暗に・・・・

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