第171話 ギルドへ戻ると

「もうさっきの事は、誰も覚えていませんから!大丈夫ですから!」


そう言ってギルドへ戻る事をせかす娘さん。


いや、この時点で貴女覚えてるでしょ?

そう突っ込みたくなったけど、見ると怪我を負った冒険者が次々戻ってくる。


厳ついにーちゃんならどうでもいいが、綺麗な顔をした女性が、顔を怪我しているのを見てしまって。うわあ!あれ大丈夫か?そんな怪我を負った女性もいた。


「うわあ!さっきの女性・・・・顔半分何あの怪我?」

僕が思わずそう呟くと、


「怪我してない方のお顔は大層綺麗そうでしたから・・・・女性として同情しちゃう。」


友郁もあの顔を見てしまって、顔色を失っている。


でも、もしかしてダンジョンって、この街から近い?


あ、そうそう、僕と友郁がいたのは、ギルドからそう遠くない場所。

なので、すぐに到着。

何せ、あのおじさんが僕らを待っていたぐらいだからね。


「おお!助かった!すまんがその、怪我人を治療してはくれないか?」


お金かかるんじゃないの?いいのかな?


「色んな回復ポーションを用意できますか?」


「ポーション?一体どんな?」


「まず、一人二人ならいざ知らず、沢山の人の治療をするなら、確実に魔力が枯渇します。魔力回復ポーションを!そして、僕はスキルを使いすぎると、一寸色々怪しいので、精神の回復ポーション!これは必須です!」


「う!精神の回復ポーションだと!ここにはないぞ?ポーション屋にはあるか?おい、誰かひとっ走り行って買い占めて来い!」


すると、トビーが飛び出していった。あ?彼はやけに脚が早いな。

まあ身体が細身だったし、そう言う役割の冒険者かな?


せっつかれてギルドに入ると、


テーブルがベッド代わりに、怪我人が沢山寝かされていた。


うわ!これは酷い。


そして次々運ばれてくる怪我人。


寝る場所もなく、床にうずくまってる人もいる。


そんな中、残念ながら、どう見ても死んでいる人もいる。

そして、死にかけている人も何人もいます。

そんな中、さっき見かけた女性も死にかけています。


回復魔法を使うか、エリクサーを複製して使うか、どちらが僕の負担が楽か。


本当は時間をかけてこういった検討をしたかったのだけど。


仕方ないので、先ずエリクサーを取り出し、複製します。

ストックはあるはずだけど、このままだと数がね。

そして相変わらず普通に複製ができます。

いつも思いますが、どうなってるのかな?複製するのはいいけど、何か素材やらいるはず。

未だ僕はこの謎がわかりません。


そんな中10個ほど用意し、娘さんに渡します。


「これを患者に。僕は魔法で回復させます。」


「え?これエリクサーじゃないんですか?」


「怪しそうな人から使って。腕を折ったぐらいなら後回しで。」


気が付けばさっきのあのユニハという人と、ビーチェさんが僕の近くにやって来る。


「手が空いてるならこれ使って!」


僕が娘さんに渡したエリクサーを受け取る2人。

「こ、これは!」


「見てる時間があれば、早く行って!」


うう、これだけで頭が痛みます。


「順平さん!やっぱり無茶してるんじゃ?」


「大丈夫。あ、やっぱりさっき見かけた女性が一番怪しい。すぐ回復させよう。」


そう言いつつ、何故かもう僕は一人では歩けません。

友郁の肩を借りて、顔半分が悲惨な事になっている女性の元へ。


あ?顔だけじゃないのの?身体も?!

顔と同じく、半身が溶けてる?

酸でも浴びた?


僕はこの女性に手をかざし、


回復魔法を使います。

焼け爛れた顔も元に戻り、身体も回復していきます。

あ、服も溶けてるから、女性の胸が見えてしまってます。

友郁がささっと布を出し、女性の身体にかけてます。


「う・・・・ここは?」

「君、怪我をしてたんだ。まだ動いちゃ駄目。」


起き上がろうとして、布が取れる女性。

「きゃあ!」


急いで片方の胸を手で隠してます。

僕は一瞬めまいがしてふらつきます。

友郁が咄嗟に受け止めてくれます。


次と思って周りを見渡すと、誰かが来ます。

トビーが戻ってきます。


「だんな!色んな回復ポーション!お代は緊急だからと後払いでさ!」


僕は精神の回復ポーションと、魔力の回復ポーションを複製し、早速飲みます。


うう、時間がないので複数を同時に飲みましょう。


注:本当はポーションの複数同時飲みは推奨されません。

場合によってはポーション酔いの症状が見受けられます。


一瞬そんな言葉が頭に浮かびますが、



まあいいか?

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