第119話 ベッドのある部屋に通される

暫くあーだこーだと相談していたみたいだけど・・・・

「・・・・仕方ありませぬ。あのお方はあれから一度も目覚めませぬ。こちらとしてはもう打つ手がありません。」


・・・・このベッドに寝ている人物を回復させれば・・・・戻れるのか?


不安だ・・・・

するとそっと僕の手を握ってくれる才村さん。

「わ・・・・私がいますから・・・・」


「ありがとう・・・・」


●ベッドのある部屋●


そこには10人ほどが寝かされているようです。

その中でも特に2人の身分が高いようですね。

「辛うじて生存している王族の方々です。」


・・・・全員若いですね。まだ子供もいるじゃないですか。


「ええと・・・・あなた方が何をしようとそれはいい。ですが、こんなまだ子供まで犠牲にする必要があるのですか?」


そう言いつつ、明日の出来事を思うと、必要だったのでしょう。


「あなたは、魔王の脅威をご存じないのでそう言った事が言えるのでしょうが・・・・」

「魔王の恐ろしさは身をもって何度も思い知らされてますよ。明日、この辺り一面焦土と化しますからね。」


あ、思わず言ってしまった。

「え?どういう事ですか?」

言って分かればいいけど・・・・


「僕は並行世界が扱えます。つまり、例えば今を起点として、いくつかの世界を体験できます。そして・・・・明日の昼過ぎに魔王はこの地にやってきます。どうあがいてもこの時は勝てませんでした。そして、逃げる事しかできなかった・・・・」


「じゃあ姫様や王子さまは?」

「その時はここの存在に気づけなかったのでね。おそらく全滅だったのでしょう。」


「そう言う貴方はどうなのですか?」

「さあ?現在進行中ですからね。まあ、一番ましな結果では、魔王から逃げ、数年間修業をし、力を得た僕は反転攻勢に出て、魔王を討つ事に成功はしましたよ。ただ、世界中が酷い有様となってしまいましたが・・・・」


そうしないと僕は最終的に寿命で死ねませんでしたからね。まあ、本当に寿命で死ねたかは・・・・そこまで潜りませんでしたから。あ、違うな・・・・並行世界の僕は皆死んだんだよな・・・・


「・・・・嘘は言ってませんね。わかりました・・・・とにかく一度診てもらえませんか?このままでは身動きできないうえ、明日死んでしまうのですよね?」

「そうなりますね・・・・ですが、最終的に魔王は討てましたが、今この人達を回復させるのがいいのかは知りませんよ。その結果魔王を討つ事が出来なくなる可能性がありますから。」


・・・・一度どこかで潜る必要が?ただ、あのスキルを使うと消耗が酷いので・・・・もう正直眠いのですよ。

「そんな・・・・では、見殺しにするのですか?」


考えないと・・・・

「先輩!助けるんですよね?」

「・・・・そうすると、あの時の未来は消えますよ?いいのですか?古手さんなんかはすごい反応でしたからね。」

「あ・・・・そ・・・・それは・・・・」

「まあ・・・・あの通りの結果にならずとも、その・・・・あの時刻に、あの通りにエッチをすれば・・・・」

「あ、それはそうですね。ただ、卵子はいいんです。おそらくそのタイミングであれば同じ卵子ですから。ただ、その、先輩が・・・・全く同じタイミングで・・・・できますか?」

「そ・・・それは何とかします。数日間しっかり体調を整えて、そうですね、一週間ほどあの時と同じ生活をすれば・・・・(あの時とリンクするしかない?できるのかな?)」

は!何を言ってるのでしょうか?あ、なら別にここの人達を救ってもよさそう?

「あ、多分何とかなるでしょう・・・・一度診ます。」


本当に何とかなるでしょうか?この人たちを救ってしまい、あの時になかった関わりが出来てしまえば・・・・魔王との関係が変われば、結果も変わる・・・・どうすべき?

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