第105話 何て事・・・・貴重な時間を無駄にしてしまいました

気が付くと、僕は寝かされていました。

才村さんが必死になって回復魔法を使ってくれたようですが・・・・何が起こった?


起き上がろうとするも、全身の痛みがひどく、指一本動かす事すらできません。


それに、考えるのが億劫に・・・・

あ、そう言えばエリクサーがあったっけ?どうでもいいか・・・・な?


「先輩、常山先輩!しっかり!」

才村さんが励ましてくれます。ですが、先輩に戻ってますね・・・・

「ちょっと、どうしちゃったの?気が付いたら痙攣しながらそこら中から血が・・・・」

森江さん、何を言ってるのですか?


「順平さん!気を確かに!何かできる事はないですか?」

ええとどちらさんでしたっけ・・・・矢板橋さん・・・・みずかと呼んでと言ってましたね。


それと・・・・古手さんでしたか?そんな怖い顔して睨まないでも・・・・

「ちょっと!何勝手に倒れちゃってるの!しっかりなさい!」

・・・・ごめんね・・・・

あ、女子高生2人はおろおろしてますね。


僕は頭でエリクサーを思い浮かべ、手に取り、それを飲みます。

すると頭がクリアになり、急いで起き上がります。

し・・・・しまった!ずいぶん時間を無駄にしてしまった!

「あ、僕が倒れてどれぐらい時間が経ちましたか?」

「ええと・・・・それほどは?気が付いてから・・・・30分ぐらい?」

才村さんは僕を治療しようとして、時間の感覚が分からなかった?

「いえ!2時間は経ってますよ!」

・・・・気が付けば、並行世界の僕は全員死んでいました。

そして、今までの情報がどんどん僕の中に入ってきます。更には獲得し、レベルの上がったスキルも。


そして・・・・色々なアイテムもカバンの中にあります。


僕は考えました。

2時間も無駄に・・・・

明日にはこの・・・・王都が襲撃を受けると言うのに・・・・


「侍女さん!」


「は、はい!」

控えていた侍女さん、まさか呼ばれるとは思っていなかったのか、驚いています。

「明日の昼、魔王軍がこの王都を襲撃します!至急対策を取らねば全滅です!」

「え?どうされましたか常山様?」


「どうしたも・・・・明日の昼だよ?わかってる?」


「せんぱ・・・・順平さん、どういう事でしょう?」

「僕のスキルで、未来を体験しました。そこで僕が考えるあらゆる対策を講じましたが、襲撃を止める事はできませんでした。そして・・・・このままでは、この場にいる殆どの人が、明日亡くなります・・・・」

「ええと常山さん?訳が分かりませんわ。」

森江さんも理解してくれない?


すると・・・・古手さんが意見を言います。

「常山さん?何を見たのか知りませんが、それでは私達は理解できませんわ。何かないのですか?」

・・・・この場の全員を助けるのに、一番難儀したのが古手さんです。

なので、僕は古手さんの一番いい結果の動画や写真を、いくつか用意しました。

古手さんと言いますか・・・・この場の全員が助かり、平和に暮らした状態の・・・・です。

これを見て理解してもらえれば・・・・いいのですが。


あ、更には、対象の人物の頭の中とリンクし、記憶の一部を共有できる魔道具を並行世界で作って・・・・

それと装着し、見せたい”時”を選択すれば、まるで自身が体験したかのような感覚になります。

場合によっては使いますか・・・・

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