第37話 さらに話を

「最初の質問は、概ねお答えできたと思われますが、如何でしょう?」


・・・・うん、多分答えてもらえたかと。

「最初の常山様の質問は1つ目・誰が命じて召喚をしたのか。2つ目・誰が召喚を実行したのか。3つ目・ここを治める国の王族が誰も姿を現さないのは何故ですかですので、この3つは返答済みでよろしいかと。」


侍女さんが割って入る。

うわ・・・・そのまま覚えてるじゃない。凄い記憶力。

「では、次の質問にお答えいたしましょうか?」


受付の女性はそう言ってくれます。


「あ、お願いします。ええと、スキルやレベル、僕達転移者と、この世界の住民との違いです。スキルに関しては、スキルそのものや、スキルの増え方等ですね。」


「分かりました。では順を追ってご説明いたしますわ。ただ逆に私は常山様方転移者様のスキルに関する知識が分かりませんので、こちらにとっては常識な部分がありますので、分かりにくいようでしたらその都度ご指摘ください。まずスキルですが、無くても色々できますわ。例えば剣術。なくても剣は扱えます。」

「あ、それは実感しましたよ。解体の講習で、ナイフを普通に扱えてましたから。」

「そうです、そんな感じですわ。ただ、スキルがありませんと、剣術等の戦闘向きのスキルの場合、強い魔物相手では太刀打ちできません。」

そこがスキルの不思議な所なんです。

僕は元々ナイフを扱えていましたが、剣術のスキルを取得後は、明らかに解体作業のスピードが上がりましたから。ただ、解体スキルのせいかもしれませんが。

あ、そうですね、スキル、解体スキルもそうです。少しの講習で、何であんなに解体速度が上がるのか理解できません。


「あの、僕は講習で解体スキルを得ましたが、あのわずかな時間で魔物や魔獣の解体ができるとは到底思えないのに、ほんの1時間ほど教えて貰いながら実行したら、あんな難しい解体が、あっさりできるようになったのも驚きですよ。日本では解体なんか覚えるのに少なくとも数週間はかかりますよ?」


「そうですね、恐らく解体スキルの場合、スキルが無ければそれぐらいは時間がかかりましょう。それに、スキルを所有していれば、解体の速度、質ともに向上しますから。」


・・・・うーん・・・・受け答えを一生懸命してくれるけれど、いまいちかみ合わない。

スキルありきの常識なのでしょうか?


「結局スキルって何でしょうね?」


僕がそう改めて聞くと、受付の女性は??と言うような顔をし

「スキルはスキルですわ?」

やはりスキルがあるのが前提の世界なんだな・・・・

「もしスキルがこの世界に無ければどうなりますか?」

改めて聞きます。

「え?スキルが無い?いえ・・・・考えられませんが?なければどうなるのでしょうね?」


根本的に何かが違う世界なのですね。

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