第30話 一膳の箸
取り出したのは、一膳の箸だった。
「え?箸じゃないか。凄いね、しかもきちんとした出来だね。使いやすそうだ。」
「ありがとうございます。一応出来を確認してもらいたくて。」
そう言ってその箸を内元君が僕に渡してくれる。
それを見ると・・・・綺麗な、使いやすい箸だった。バランスもよさそうだ。
「器用なもんだね。今まで作った経験は?」
「いえ全く。どうですか?一度試しに作ってみませんか?5分もあればできますよ。僕、材料は持ってきてるんです。ナイフがあればできます。」
そう言って材料の木の枝?を差し出してくる。
あ、因みに席はね、
僕 侍女 才村 侍女 伊知地 侍女
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
内元 侍女 揚村 侍女 吉安 侍女
まあこんな感じで、侍女さんが間にいるから、僕達の会話は転移者がよほど気を付けない限り、聞こえないんだよ。
それと、侍女さんは多分僕らの秘密は一切誰にも漏らさないから、居ないのと同義。
「まあ、一度やって見て下さいよ。僕もやりますから。」
そう言って僕にも作れと。マイ箸・・・・
カバンにあるのはあるんだけどね。小さな持ち運びのが。
まあ今はそれを出しても意味がない。
僕は内元君に教えて貰いながら、使い慣れていないナイフで枝を削っていく。
まあ、元々ナイフの扱いは、サバイバルかぶれで、後はキャンプとかで使ってたから、それなりには扱えるし、剣術のスキルがあるせいか、意外と簡単に枝が削れていく。
「あれ?常山さんはナイフ扱えるんですか?」
驚いたのか内元君がそう聞いてくる。
「趣味でキャンプとか、ちょっとしたサバイバルとかね。ナイフはそこそこ使った事があるんだよ。カバンの中にはそういう本が入ってるんだよ。」
こんな雑談?をしながら削っていく。
時々内元君の指摘を受けながら。
「そうです、少し先を細く、そうです。で、先端はナイフでこう、ぐるっと削るんですよ。」
さすがに5分とはいかず、木の枝一本5分?箸は棒が2本で一膳、つまり棒が2本で一組。これをもって一善ですか。
合計10分ほどで・・・・それっぽい箸が出来上がった。
「意外と上手く出来てますね。まあ、こんな調子で作っていたんですよ。」
「内元君教え方上手いね。素人の僕でも簡単にできたよ。」
「いえ、ナイフ捌きが上手かったからですよ。」
そう言いながら・・・・
「折角ですから、もう一膳チャレンジして下さい。」
何故かもう一膳分取り出す内元君。
「分かった、やってみるよ。」
折角だし、才村さん用にもいいかも。
そう思いながら・・・・あれ?さっきより圧倒的に簡単にできるぞ?
そして、そんな僕を見ながら、問題ないと思ったのか、内元君はさらに僕の倍のスピードで二膳の箸を作っていた。
そして出来上がる。
「流石ですね。早いし上手にできてます。この調子でどんどん行きましょう。ここにいる侍女さんの分もね。」
「それはいいけど、扱えるのかな?彼女達。」
「教えればいいんですよ。どうやら頭の回転は、少なくとも僕の侍女さんはすごく早そうですから、きっと覚えるのも早いですよ。」
こうして更に僕は2人分の箸を、内元君は自分の侍女さんと、3人の女子高生の侍女さんの分も作っていた。
気が付かなかったけれど、僕のスキル、いつの間にか道具作成が増えていたようです・・・・
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